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濃霧
「こいつはこの部屋の奥に運んでくれ」
敵から逃れた秋麗では死者の水葬と負傷者の治療にあたっていた。
「大丈夫か?おい」
丑作と源太郎は負傷者を運んでいた。
「丑作、その人もう死んでいるよ」
「そうか…源太郎、こいつを甲板に運んでくれ」
「わかった」
源太郎は血だらけになった死者を甲板に運び、水葬をした。
そこに伊丹艦長が訪れた。
「あっ、艦長」
艦長はボロボロになった秋麗と死傷者をみて回っていた。
「皆、よく戦ってくれた」
この言葉は死者にも聴こえただろう。
「みんな待っている家族がいたんだろうな」
丑作は落ちていた赤く染まった家族写真を眺めながら呟いた。
この時の死傷者は135人、この内死者は54人である。
秋麗は満月の光が差し込む海の中をひっそりと進んでいた。
そして、秋麗は目の前発生した濃霧の中に入った。