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【ショートショート】愛が重い

作者: 夢尾

世の中には「愛が重い」という言葉があるけれども、本当なのだろうか?

私はビルの屋上で東京の夜景を眺めながら考える。


私はもちろんそれが言葉の表現方法の一つであることは知っている。形もない愛に重さなどないのだろう。

しかし、同僚のAは毎日口癖のように言っている。

「彼女の愛が重たくて辛い。」と。

つまり、彼は彼女からの愛に重さを感じているはずだ。

さらに、SNSでも愛の重さについて話されていた。

「母親からの期待がすごい。愛が重たい。」と。

つまり、投稿者は母親からの愛の重さを感じているはずだ。

またある時は、テレビで有名人が語っていた。

「愛の重たいファンがいて困る。」と。

つまり、彼はファンからの愛の重たさを感じているはずだ。


私は生まれてこのかた誰からも愛を感じたことがない。

愛に重さを感じたことがないのだ。

だから、本当に愛に重さがあったとしても知る由はない。


私は屋上のヘリに近づいていく。

もう一歩でも踏み出せばここから落ちるだろう。


しかし、本当に愛に重さがあるのであればきっと私はこの世界の誰よりも軽いはず。

そしたら、空を飛べるかもしれない。


私は足を1歩前に出した。

次の瞬間には重力に引っ張られ、アスファルトが近づいていた。


私は空を飛べなかった。

つまり私にも愛の重さがあるのだ。


私は最後まで愛を実感できたと喜んだ。

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