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第11話「行くぞ」

 この街に着いてから、2年が経った。


「おめでとうございます。ベル様、モルガン様、クー・フリン様は今日からBランクです」


 冒険者ギルドで依頼完了を報告した際に、カウンターに居る受付嬢にランクアップした事を伝えられた。

 その言葉にベル達はそれぞれ抱き合いながら、喜びを分かち合っている。


 そんな彼女たちの様子を見て、周りの冒険者が一人また一人と賛辞の拍手を送っている。

 2年でBランクまで駆け上がるのは、異例と言って良いほどの早さだ。

 俺がドーガ達と組んでいた頃はBになるまで3年かかった。それでも十分早いというのに、彼女たちはそれよりも1年も早くBに上がって来たのだ。


「アンリさん。これでボク達もついて行けますね!」


「あぁ、そうだな」


 1年前、Aランクになった俺に与えられた選択肢は2つだった。

 Sランクに昇級するために単身で王都へ行き、昇級試験を受けるか。

 パーティでSランクに昇級するために、ベル達が一緒に試験を受けられるBランクまで上がるのを待つか。


 正直、心が揺れた。

 早く俺を助けてくれた冒険者に会いたいという気持ちもあった。

 Sランク冒険者しか行けないような危険な場所に、彼女たちを連れて行くのかという不安もあった。


 一人で行こう。そう思った俺の裾を掴んだのはモルガンだった。

 

「……置いて行かないで」


 モルガンのその一言を皮切りに、ベル達がわんわん泣きながら俺を引き留め始めた。

 そんな彼女たちを振りほどく事が出来るわけもなく、一緒にSランクを目指し、ついにここまで来た。


 ベルは相変わらずモンスターに追い掛け回されては泣いて逃げ回るし。

 クーは殴って爆発させる事しか考えてない自称武闘家だし。

 モルガンはケガに対し「まずは気合いで治せ」と言い張る回復術師(ヒーラー)


 Bランクまで上がったというのに、根本的な所は何も変わっていない。

 変わっていないが、今では背中を任せることが出来る。

 本当に頼りになる仲間だ。


「アンリ君。ここを発つつもりかね?」


「はい。どうしてもSランクになりたいので」


「そうか。名残惜しいが、無理に引き留めるつもりはない」


 この街のギルドマスターは、前の街のギルドマスターから、手紙で俺の事情については知らされている。

 だから俺を無理に引き留めようとはしない。

 

「これを持って行きなさい。王都のギルドへの推薦状だ。これを出せばすぐに試験を受けさせてもらえるはずだ」


「何から何まで、すみません」


「それと、アイツが言ってたアレをしても良いぞ?」


 アイツ? アレ?


「ほら、パンツー丸見えをしたいんだろ?」


「したいのは『鑑定』スキルです」


 アイツとは、多分前の街に居たギルドマスターの事だろう。

 話しぶりからして、ギルドマスター同士ってだけの仲では無さそうだが、そこはどうでも良いか。


 とりあえず許可が貰えたという事で、『鑑定』をさせて貰った。

 これで新たに使えるスキルが増えた。


 鑑定を終えた俺に、ベルが話しかけてきた。


「このまま王都まで行くの?」


「そうだな。今日中に準備を済ませて、明日の朝には王都へ向かう馬車に乗って行くつもりだ」 


「じゃあ早く買い物を済ませないと!」


「クーも準備する!」


 走り出そうとする2人をモルガンが抑える。


「王都でも買えるのですから、準備は最低限で良いわよ」


「あぁ、基本的に今ある物で十分だからな」


 準備は消耗品を少し買い足す程度で十分だろう。

 それよりも、最後にこの街を軽く観光して行きたい気分だ。


 気になっていた出店を買い食いしながら、必要な物を買うついでに不必要な物でも買って行こうかな。

 モルガンには、はたかれるだろうけど、ベルやクーなら素直に喜んでくれそうだ。


「行くぞ」

 

 冒険者ギルドを出る俺達に、「頑張れよ」と言って冒険者達が送り出してくれた。

 返事代わりに軽く手を上げて、俺達は歩いて行く。振り返る事なく、真っすぐと。

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