異世界召喚の理由
土曜日に出そうとしたのですがとある事情により出せませんでした。
話の内容はこうだった。
この世界はアレクシアと言われており、俺達のいた世界とは別の世界、いわば異世界である。この世界には魔法など俺達のいた世界には無い力や法則、種族、概念などがある。
そして、アレクシアではおよそ百年前まで、聖戦が行われていたらしい。その聖戦は人類同士の戦いではなく、人間と亜人対魔神によるもので、魔神の創り出した魔人や魔獣によって人類と亜人は絶滅寸前まで追いやられたそうだ。しかし、神の使いとされる―天人種―、天使の参戦でおよそ二百年に渡った聖戦は終わりを迎え、魔神の封印という形で幕は下されたらしい。
しかし、その封印は年々弱まりつつあり、そこから漏れ出た魔神の瘴気により魔獣の数がどんどん増えているらしい。平和ボケというやつなのだろうか聖戦を生き抜いてきた人達と違い、魔獣の討伐は困難でこのままいくと増え続ける魔獣もしくはそれ以上の脅威に亜人含め人類は滅び兼ねないらしい。
そこで、呼び出されたのが俺達ということだった。この世界から見た異世界人、つまり俺達の世界の人達は魔素を取り込むとこの世界の人達をも上回る力に目覚め、思春期の少年少女に関しては更に莫大な力を得る可能性があるらしい。そこで、思春期の少年少女達に的を絞り、割と落ち着きを得た高校生となり、都合のあった俺達が選ばれたらしい。
そして、召喚したのは五大国の王国、帝国、法国、獣国、霊国と魔導師アイザックで今いるここは王国の王城の中という事だった。
簡単に言うと、俺たちに脅威から救ってもらいたいということだった。
(亜人だけでなく神までいるのかよ、まぁ学校生活に比べれば、というより普通に願っても無い)
「以上がこの世界と皆様を呼び出した理由になります。質問はありますか?」
「私達は元の世界に戻れるのでしょうか?」
アイザックの問いにみんながずっと思っていたであろう事を彩姉が尋ねてくれた。
「ええ、もちろん。この世界を救っていただければ、報酬として私達が出せるだけの物をお渡しし、その後に貴方方を元の世界に戻します」
報酬という言葉にみんなが反応した。
「出せるだけでとはどのくらいですか?」
言葉が少しめちゃくちゃになっていたが、颯一が尋ねた。
「言葉の通りでございます。出せるだけ、私達が用意できるものであれば金でも宝でもなんでも」
人もなのだろうか? ふと、そんな事を思った。
他のみんなは先程までの緊張が嘘だったかのように明るくいつもの調子に戻っているようだった。
「では、これからの説明をさせていただきます。救うための力を皆様に宿す儀式を行い、その後皆様には五大国に均等に6人ずつ所属していただきます。分け方といたしましては皆様に模擬戦をしていただいて皆様の力を把握したのちに、出来るだけ希望に沿った上で分けさせていただきます」
「模擬戦って?」
クラスメイトの一人が尋ねる。
「模擬戦とは貴方方のお披露目を兼ね、この国にある闘技場で皆様で互いにトーナメント方式で戦っていただきます」
「戦っていただく」その言葉でみんなに不安が走ったようだった。
「安心してください。怪我のないよう結界魔法と防御魔法で皆様の安全は保証いたします。ほんのゲームと捉えていただいても構いません。ルールについては後ほどお話しいたします。そして、上位者には報酬として金貨十枚、皆様の世界でいう一千万円相当をお送りいたします」
不安は一瞬で取り払われたようで、みんなからはまた盛り上った様子が見られた。
「以上です。お疲れでしょうから模擬戦の説明と儀式は明日とし、本日はこの世界の観光でもお楽しみください」
***
俺達はアイザックに連れられて城下に来ていた。城下というだけあって俺達の世界程、技術的進歩は見られず、それこそアニメや漫画、絵本などで見るような所だった。
しかし、魔法や魔道具らしき物が見られ、俺達の世界では出来ない事を可能にしていた。
アイザックによると魔道具という見解は正しく、基本は魔石によって動かしているらしく、俺達の付けているブレスレットも魔道具なのだとか。この世界では魔石は電池のような使い方なのだろう。
(魔道具に魔石にほんとファンタジーだな……)
そんな説明などを受けながら、俺達はこの国を回った。商店街、宿舎、大浴場、銀行、歌劇場などを回ったが俺達にはどれも城で事足りたり、支給されるためあまり必要ないらしい。
「雰囲気や買い物などを楽しみたいのであれば来ていただいても構いません。ですが一箇所、城では出来ないところがあります。こちらです」
そうやって連れてこられたのはギルドだった。
ギルドはアニメ等と同じようで冒険者がパーティを組んだりしてクエストを受ける所らしい。
「階級や報酬もあるので、興味のある方は冒険者登録をなさっても構いません」
「どうする?」
「しようぜ」
「ロマンだな」
そんな声が聞こえてくる。
「どうする?」
優が尋ねてきた。
「楽しそうだからいいんじゃねぇの?」
「そうだね」
結局、男子は俺を含めてほぼ全員、女子は三割程度が登録をした。
本来は登録するのにステータスカードという身分証的なものと銅貨五十枚がいるらしいがアイザックの立会いの下、大した手続きをせずに済んだ。
登録の際、金色のギルドカードというものを渡された。このギルドカードで階級は分かれており、十二の階級のうち召喚者という理由みんな上から五番目の金となったらしい。
話によると、冒険者は世界でおよそ三千人ほどで金の冒険者は百人以下、それより上は四つ合わせて十人程しかいないらしい。
とんだ大出世だった。
「さて、大体見て回りましたし、そろそろ王城に戻りましょう。本日は貴方方をもてなすため城で宴会を催させて頂くつもりです」
「「「おお〜〜〜〜〜」」」
みんな沸き立つ。
王城での宴会は恐らく物凄いものなのだろう。
御拝読ありがとうございました。
誤字脱字誤植等ありましたらご報告下さい。
設定資料的(異世界について)なものを作りましたのでよければ見てください。キャラクター分はもう少し進んでから出します。




