ステータス
またも遅れてしまいました。今回はステータスの設定などを考えて少し凝っておりました。
目が覚めた。よく寝ていた……夢も見ないほどに。昨日はこの世界に連れてこられいろいろあって疲れていたのかもしれない。優の部屋から戻って、ベットに入り……何もした覚えがないからたぶんすぐに寝たのだろう。
部屋にある洗面所で顔を洗い、制服を身に纏う。
すると、
コン!コン!コン!
部屋のドアをノックする音がする。おそらく優だろう。
ボタンを締めながらドアを開きに行く。
案の定、優だった。
「おはよ!こんな時はやっぱり起きれるんだね」
「まぁな」
「もうじき朝食だから昨日言ってた所に行こう」
「あぁ」
優に言われ、昨日の夜アイザックが朝食を食べるのに指定した所へ向かう。
一番近い階段を降り、中庭を横切りすぐの扉を開く。
ここが指定された場所。昨日みんなで通された部屋のどこよりも小さいがそれでも教室の数倍の広さはある。
「「おはよう」」
先に来ていた数人から挨拶が飛んでくる。
「おはよー」
「おはよ〜」
俺も優も挨拶を返す。
部屋にいたのは十人ほど。まだ半分も来ていない。
優と話しながら待っていると、数分ほどで朝食が運ばれて来た。昨日の御馳走ほどではないが朝食にしては豪華だ。
そして、残りの人もぼちぼちと部屋に集まってくる。全員が揃い朝食をとった。
美味しかったが少食の俺にはさすがに豪華すぎたので少し申し訳ない気持ちはあったが残すことにした。
しばらくしてみんなが食べ終わった頃、
「皆様おはようございます。朝食もお口に合われたようで何よりです」
アイザックが現れそんなことを言った。そして続けて、
「皆様にはこれから魔同化、この世界を救うための力を宿す儀式を行いますので、私について来てください」
***
連れてこられたのは昨日の会場ほど広い所だった。中央には大きな、と言うより大きすぎる半径数メートルぐらいの水晶玉のような物が浮いており、少し離れた所に王様達や昨日宴にいた人達つまり、国々の重役達そして、クロエがいる。おそらくギャラリーだろう、なかなかの重圧感。
「こちらで行います。まずは今から皆様にお配りするものをお受け取りください」
そう言ってアイザックは食事を運ぶような台車を押す使用人を連れてみんなにグラスのようなものを渡していき、
「どうぞ」
俺にも例のものを渡しにきた。中身は謎の液体が少量。
「ありがとうございます」
(え⁉︎ 飲めと?)
「皆様、手元に行き渡りましたでしょうか?」
みんなに渡し終えたアイザック先程いた場所に戻り、
「そちらは魔石。見た目こそ液体ですがそれが虹の魔石です」
(例の……)
クロエの方を見る。クロエはこっちの方を見ていたのですぐに目があった。すると、ニコッと首を傾げて来たのですぐにアイザックの方に目を戻した。
「こちらは虹の魔石の一種「神水」のひとつを皆様分に分けたものです。これを皆さんの体内に取り込んでいただきます。経口、つまり飲んでいただきます。もちろん害はございません。皆様の体は転移の際の力の干渉を受けこちらの世界に順応し、あとは魔力を取り入れれば終了です」
みんなの間に戸惑いが見られる、すると颯一が、
「うぉーー……んっ……」
気合いを入れ勢いで飲んだ。
一瞬、颯一の体が揺らぐ。
「はぁ! なんか一瞬意識飛んだ気もするけどなんともないわ!」
「なんだよ〜」
「不安になるじゃーん♪」
などと、みんなの雰囲気が明るくなる。そして、みんな飲み始める。みんな、颯一同様体が揺らぐが問題ないようだ。
残りのみんなに合わせてグラスを口に運び、中の液体を喉に通す。
(んっ⁉︎)
意識も普通、何にも起きた気がしない。というか不味い。
(こんなんでいいのか?)
「終わったようですね。では、これより皆様のステータス確認です。一人ずつこちらに来てこの水晶に手をかざしてください」
「じゃあ俺から〜♪」
颯一が水晶の方に行き、服の袖をまくり、深呼吸して、
「いくぞ〜!」
そして、もう一度深呼吸。
「「「長い!!!」」」
クラスのみんながツッコミを入れる。
「ははは。ごめん。じゃあ」
颯一が水晶に手をかざす。
瞬間、水晶が光輝き、中に文字や数字が映る。
―――――――――――――――
名前 田中颯一
種族 人間
性別 男
年齢 16歳
レベル 1
職業 勇者
パッシブスキル
基本能力3倍・全属性適正Ⅲ・全属性耐性Ⅱ・物理耐性・魔力感知・魔素吸収Ⅲ・全聖剣使用可能
アクティブスキル
基本能力2倍・筋力2倍・能力解放・全回復・状態異常回復
能力
筋力 40 ×15
精神力 50 ×15
精神 735
魔力 100 ×15
魔素許容力 1000 ×15
魔素 1896
加護
勇者の加護
英雄の加護
精霊の加護
神の加護
「候補者「英雄」」
夢「 」
パッシブスキル
基本能力5倍・魔素吸収Ⅴ・光属性適正Ⅴ・闇属性無効
アクティブスキル
基本能力10倍・全回復
書庫
勇者の書庫
・勇者の書
・剣士の書Ⅰ
・火属性の書Ⅰ〜Ⅱ
・水属性の書Ⅰ〜Ⅱ
・風属性の書Ⅰ〜Ⅱ
・土属性の書Ⅰ〜Ⅱ
・光属性の書Ⅰ〜Ⅱ
英雄の書庫
・英雄の書
夢の書庫
―――――――――――――――
(ん? なんだこのチート、基本能力最大300倍って!)
ゲーム終盤のようなステータスぶりにそんなことを思う。
「「「おお〜〜〜」」」
みんなやギャラリーから声が上がる。
「おお〜素晴らしい! 勇者、それに候補者とは」
「うぉーーー!」
颯一は歓喜に打ち震えている。
「アプリカントって何ですか?」
そんな颯一を置いて誰かがそんな質問をする。
「候補者。候補者。この世界の人はごく稀に、召喚された人には十人に一人ほど発現する超常の力で、それぞれ夢という固有の能力や魔法が使えるようになります」
「固有固有♪ うぉーーー!」
いつから聞いてたのか颯一の歓喜に拍車がかかる。
「それと、詳しい話は後程いたしますが、注意として一つ。魔法を使うには魔素が、そして魔同化により精神を魔素にする事ができます。田中様のように魔素吸収があれば精神を魔素にする必要があまりありませんが魔素吸収の無い方が魔法を使うには精神魔素にしなければなりません。そして重要なのは、精神は精神ですので無くなると死にます。ですので魔法の使い過ぎにはご注意を」
(え⁉︎ 怖!)
「まじ⁉︎」
「なにそれ!」
みんなからそんな声が漏れる。
「誤ったことをしなければ大丈夫です」
「なら良かった〜」
みんな安堵する。
「さい先がいいですね。では次はー」
「じゃあ俺〜」
クラスの男子が名乗りを上げる。
「それじゃあ」
手をかざす。颯一の時と同様に水晶が光輝き、中にステータスが表示された。
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野崎健
種族 人間
性別 男
年齢 17歳
レベル 1
職業 魔導士
パッシブスキル
精神力2倍・魔力3倍・火属性適正Ⅱ・風属性適正Ⅰ・全属性耐性Ⅱ・魔素吸収Ⅰ
アクティブスキル
魔力吸収Ⅰ・魔力供給Ⅰ
能力
筋力 70
精神力 60 ×2
精神 105
魔力 100 ×3
魔素許容力 1000
魔素 962
加護
なし
書庫
魔導士の書庫
・火属性の書Ⅰ
・風属性の書Ⅰ
・土属性の書Ⅰ
・闇属性の書Ⅰ
―――――――――――――――
「うわ弱ぇ〜」
「うるせぇ! 颯一が強すぎるだけだろ!」
「それほどでも〜」
「いえ、これでも高い方です。おっしゃる通り、田中様が高すぎるだけですので気になさることはありません」
「では、次は……」
***
「勇者に賢者、候補者が三人中々いい結果です。では〜最後、時任様どうぞ」
あの後「我先に」と、自分のステータスを見たい人が多く、中々次に進みそうになかったのでクジ引きとなった。
そして、運悪く俺はトリを締めることになってしまった。
「はぁ……」
小さく溜息をつく。そして、手を水晶にかざした。
水晶が光り、中にステータスが映し出された。
―――――――――――――――
名前 時任秋斗
種族 人間
性別 男
年齢 16歳
レベル 1
職業 なし
能力
筋力 100
精神力 100
精神 87
魔力 0
魔素許容力 0
魔素 0
加護
なし
書庫
なし
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「……」
御拝読ありがとうございました。
誤字脱字誤植等ありましたらご報告下さい。
やっとタイトル回収ってところです。次回の投稿後、改稿し再度投稿し直そうと思っています。改稿版では僕のちょっと前に出来た趣味程度のイラストを増やして挿れていきたいです。




