第六話
「こ…これは…」
「…ひどい…ひどすぎます…」
「怪我人や病気の人…被害は?」
「元帥邸に向かいながら見て行きましょう…」
キューリューの街で修行し終えた俺達はハナ街に着いた。
ハナ街を見に来たのだが…畑は焼け家は焼け落ち…街は以前の姿ではなくなっていた。
負傷した人間はいなかった。
余計に質が悪い…。
¨元気¨がある分¨食糧¨は減る。
だが畑は¨焼けている¨。
兵糧庫があるらしいが…中身はなくなっていたらしい。
…とりあえず半殺し確定だな…。
¨人¨が¨人¨を傷つけてはならないし¨人¨が¨人¨を蔑むことは…ない方がいい。
俺達は元帥邸に向かってそれぞれ¨怒り¨を秘めた表情で歩いていた。
そして…その時声が聞こえた。
「これはこれは…元ハナ街の元帥様ではありませんか」
俺達の向かう元帥邸から出てきた人々…こいつらはなんだろうか…。
「カシマゴの元帥…ユウタさんですね…そちらは…」
「俺はマサツとオスミオの元帥…ムアンだ。それと…アバズレ集団にさんで呼ばれる筋合いはないが?様とつけろ」
「大戦…始めましょうか…」
「あ?お願いしますはどうした?」
¨高圧的¨な彼等は好きではないな。
て言うか…半殺しからなぶり殺しに格上げだな。
「男嫌いで有名なお前が男連れとはな?笑えるよなぁ…」
「私の侮辱はかまいません!彼の事は悪く言わないでください!」
「どこの馬の骨ともわからぬ奴を人数合わせに連れてきたのか…無意味だな…」
「彼は一緒に戦ってくれる仲間です!」
「アバズレの仲間か…まぁ同族であろう…」
「なにを!」
「ふはははは!我等のおもちゃになりたいのか?ならば素直におもちゃにしてくださいと言えばおもちゃにしてやるのに…」
「その下品な口を開かないでください」
「勝負を捨てたアバズレであろう?おもちゃになりたいから勝負を捨てているんだろう!」
「違う!私達は捨ててない!」
「人数を見てみろ!差は歴然だぞ?」
「そんなもので優位に立ったと?笑わせますね」
「おい…同族…貴様は俺が引導を渡してやる」
「同族とは俺の事か?なんだっけ?タクアン?」
「タクアンとはなんだ?同族よ」
「タクアンを知らないとはねぇ…」
「こいつはタクアンじゃねぇ!ムアンだ!」
「お?あんたは…アバズレとゴミの二言しか言えないおこちゃまユウタさんではないですか」
「ナメてんのか?てめぇ…」
「俺は男をナメたくはないんでねぇ…気持ち悪い」
「物理的な話しじゃねぇよ!」
「今のツッコミ0点な?つまんねぇ」
「んだと?コラァ!」
「コ◯ラのマーチは好きだけどお前は嫌いだな」
「名乗れよ!」
「ワターシハァーアナータニナノルナマエナドアーリマセーン」
「てめぇ…」
「おや?ケンゴ殿ではありませんか!」
誰かが俺に声をかけた。
「そちらは…アリにマリーンに妹の…ゴミばかりですねぇ」
「貴様…ゲスーイ!」
アリが大声をあげる。
「マリーン達よ…貴様等の父親は役に立ったぞ…」
「…あなたのしたこと…許せません!」
不気味な笑みを向けるゲスーイ…奴隷であった父親をユリ達を分断するべく¨シヨウ¨と¨ハルカ¨の父を¨利用¨し罠をしかけた張本人である。
ゲスーイは利用価値がないとアリとシヨウとハルカは見捨てたのだ。
¨見捨てられた¨ことにではなく¨父親を利用された¨事に対して怒ったシヨウとハルカ。
に…対してゲスーイの本質を見抜けなかった自分の落ち度に激昂したアリ。
自分達の留守を狙い分断させ知らせを遅らせ妹を傷つけられた事に怒るイザベラ。
ハナの街を託され…守れなくて現状を招いた自分の力の弱さに怒ったリーネとアイシス。
シャナスとユリも留守を狙われた事に対して怒ってはいたが今の¨惨状¨を目の当たりにし怒りを抑えられずにいた。
俺は…プレイヤーだろうが現地人だろうがむやみに傷つけてはならない…だが彼等がした行為は侵略と見せしめである。
これに対して許せる心の余裕はなかったのだ。
「ゴミがいくら集まってもゴミはゴミ…全て燃やしきってくれるわ!」
「それでは参ります!キューリューの街の元帥の名の元に…神魔大戦!」
「カシマゴの元帥!ユウタの名の元に!神魔大戦受諾!」
そして俺達は…フィールドに転送された。
俺達とユリ達陣営は近くに転送され対面にカシマゴとサトの元帥が並ぶ。
ユウタの部下は5人…ムアンの部下は7人である。
対して俺は3人でユリが4人である。
ちなみに…ユウタの部下にではなくムアンの部下にゲスーイがいた。
「俺達がムアンと部下の相手をしますよ」
「でも人数差が…いえ…ケンゴさんには関係ありませんね」
「えぇ…」
「ケンゴさん…真ん中にいる人形がジャッジメンです」
「ジャッジメン?」
「大戦や合戦の勝敗を決める者です」
「審判みたいな?」
「そうです…彼の両腕が完全に降りたら大戦開始です」
「ほう…」
「戦いに負けると隔離されます」
「隔離?」
「プレイヤーから観戦者になる感じ…ですかね?」
「うわ…見てるだけになるんすね」
「はい…声は届かないので本当に見てるだけになります」
「了解…」
「ケンゴさん…巻き込んで申し訳ありません…」
「旅は道連れっすよ」
「ありがとうございます」
「それにイザベラさんにお礼していただきますから…」
イザベラとユリの顔が赤くなる。
シャナスはニヤニヤする。
リーネはわからず「ん?」となるが…アイシス…イザベラの妹が鬼になる…。
「お…始まるみたいだな」
俺は¨装備¨をする。
アリ達はまだ装備させない。
ジャッジメンの両腕が下がり…いよいよ戦闘が始まる。