[261]
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『あみゅー』
あのやわらかでやわらかな
ひかりにつつまれた
あのやわらかでやわらかな
がらすのような
てのひらで
ぼくのこころは
にぎられたまま
うすむらさきのかびんに
こちょらんのはなをさした
こうして
うちゅうやれいかいが
ねむりについたころ
こちょうらんのはなは
うたをうたい
まいをまいながら
あらゆるいきものにへんかをして
さまざまにかがやいて
それからかがやいて
とこしえよりもとこしえな
どくそうのそんざいとなっていった
これによって
じぶんじしんのことは
かんぜんにおわってしまった
そうして
どくそうのそんざいはやがて
とあるよちょうをかんじて
はるかなる
ゆうごうのたびをはじめた
このたびのなかで
さまざまな
だんかいやきょうがいにある
そんざいたちの
たすけになっていくことを
しったりしらなかったりしながら
じっせんしていくのであった
こうして
どくそうのそんざいが
ゆうごうのたびをおえたころには
まったくもって
あらたな
せかいがまくをあけた
まったくもって
あらたなせかいもやがて
とあるいっぺんの
しをよみおえたころには
おわりをむかえた
が、しかし
とこしえの
あいのくにのもんと
であった
そのもんを
どくそうのそんざいは
むがむちゅうをころがして
たたいてたたいてたたいた
そうして
なんねんものふしぎな
じかんがながれたあとに
あいのくにのもんが
ひらかれた
ついに
そうしてなぜか
あいのくにで
どくそうのそんざいは
すごすことになった
そこには
さまざまな
どくそうのそんざいたちがいたが
しだいに
とてもなかよくなって
いつまでもいつまでも
どこまでもどこまでも
なかよくくらしていった
どくそうのそんざいは
なかまたちには
こうよばれていた
あみゅー
あみゅー
あみゅーはあいかわらず
うたをうたったり
まいをまったり
しをよんだり
えをえがいたり
それから
あくびをしたりしていた
そうしてあるころに
あいのくにのかみさまとであった
かみさまはあみゅーに
こうおっしゃられた
「かわいいわがこ、かわいいわがこ、あみゅー」
あみゅーはいった。
「はい。わたしをつくられた、かみさま」
「これまでもこれからも、いつも、どんなときもいっしょだよ。これまでもこれからも、いつも、どんなときもいっしょだよ」
あみゅーは
あまりのかんどうによって
しろたえのなみだをこぼした
しろたえのなみだをこぼした
このしろたえのなみだから
こちょうらんのはながさくように
うまれたいのちがあった
このいのちには
はじめから
あいのくにのじゅうにんとして
くらしていられる
せいしつやさいのうが
そなわっていた
おおくの
あいのくにのじゅうにんたちに
たいそうかわいがられて
だいじにされ
このいのちは
すくすくとそだっていった
そうしてこのいのちが
ものごころついたころに
こんなことをつぶやいた
「このせかいはひとつ、このせかいはひとつ。だからこんなにも、ひとつのなかに、たくさんのすべてがつまっているんだ。たくさんは、ひろくて、ちいさくて、それぞれがあって、きれいで、こんなにも、ふかいんだ」




