[256]~[257]
[256]
『ただ愛ゆえに』
命は
ただ愛ゆえに
よろこび、悩み、遊び
苦しみ、学び、迷い、食べ
時には命を落とし
産み育て
しゃっくりし
期待し、惑い、痛み、大志を胸に抱き
頬杖ついて清らかで清らかな美しいものに憧れ
二藍色の霧のなかの幻想の花のような詩のような馨りを漂わせ
愚昧というものが時に歴史を動かすことが記録され
それにも増して見えざる手に畏怖したりして
老若男女に虜にされ
ついには踊ってしまい、木にさえ登り
含羞が心身に駆け出してから視線を落とし
群青色の枕で夢を見たり
誰かや何かのせいにして泣き止んだけど
しっぺ返しが来たり
創造し、繋げ、繋げ、繋げて、潤滑油のようにもうなってしまって
分かち合い、ただ一言が言えなかったり
病んでしまってからも不可思議な縁に助けられて
ひとつになる、元々ひとつである、ひとつひとつ
ひとつ
ただ愛ゆえに
[257]
『妖精さん』
ほら、そんなに
荒々しく近づいたら
妖精さんが逃げてしまいます
可憐で清らな妖精さんに合わせないと!
それから
胸のなかにある光の粒のような
あの白妙という言葉の綾では
言い現し難い
心情の小さな硝子玉を
ころりころりと回してしまって
心を裸にして
やはり
可愛らしさがないと
妖精さんが自由に息をすることさえできません
ほら、そんなに
乱暴をするものじゃありません
腕を組んでいるようでは
妖精さんが近寄れませんよ
先ずは
息のつぶらな曲線というものを
十分に調えて
それからはじめても
遅すぎることなどこの娑婆世界にさえ
ありはしませんので
そう
木星にある回転木馬を
一筆書きで描いてしまうように
息を十分に調えて
ほら、そんなに
無闇矢鱈に
生きるものではありません
時間が無い空間に
立ち止まって
座り
それから
ゆったりと眼を瞑って




