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『オリオンと木の葉』
夜明けまえの空を見渡せば
オリオンが明滅している
まるで
古代の秘儀や秩序でさえ
現代という唇から
告白しているかのよう
この光の便りに
少しばかりの畏怖とをかしさを感じ
銀河の駅に向かって歩いていく
ひいらりふらり
ひいらりふらり
潤朱色の木の葉が
ひいらりふらり
ひいらりふらり
と、手元に舞い降りてきた
わたしも
ひいらりふらり
ひいらりふらり
と、胸のなかにある
詩と詩の断片を詠っていった
銀河の電車は知っている
乗せる人々とその終着駅を
それから
その詩と木の葉は
憧れの土に廻り合い
手を取り合い
共に還っていった




