表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/180

[208]

[208]



「白昼夢」



世界一周旅行が

誰かの指紋から、はじまりました。

しかも、わたしのなかでは

予想だにしていなかった

豪華客船の客室からだったのです。

豪華客船の窓越しやグラス

サンデッキから

様々な国々の街や人々の

腹のなかや膵臓

それから家の寝室まで見えました。

インドはまるで、熱帯夜の象が

かなしそうに静かに呟いているようでした。

オーストラリアはまるで、

あわてんぼうのカンガルーが

ついには、コジオスコを

跳ねてニュージーランドに着陸するようでした。

ブラジルはまるで、アマゾン川のピラニアと

カーニバルの女が踊り狂うようで

わたしは、憧れさえ、抱きました。

アメリカでは、ブロードウェイで、いまだに

マドンナがバージニアビーチにキスをして

シュタイナーに恋をしているようでした。

ヨーロッパでは蝶ネクタイのイエーナが

近隣諸国の劇場作家のヒヤシンスや

政治家のミルテの家に、お辞儀をしているようでした。

アフリカ大陸では

マンドリルの楽器の音色が

炎のなかで、太陽を創造しているようでした。

エジプトでは、クレオパトラが

アマルナ芸術を目撃して、鼻血を出しているようでした。

ギリシャでは、クレタ島のオリュンポスの神々が

ソフィアやアレテーについて、相変わらず

星々の酒杯で、語り合っているようでした。

ロシアではエスカリーナ宮殿で

『イワン・イリッチの死』について

自身の心情を告白しているようでした。

中国では、詩人の杜甫が

北京の超高層ビルで働いている

社員の頭の上にある池で

ただ釣りをしているようでした。

それから、彼は、天才になったようです。

日本では、コノハナサクヤヒメが

たおやかな舞を黄昏時に舞ったあとに

「和とは、いとおかしき。」

と、ススキやムラサキに

白銀の鳳声で、包み込んでいるようでした。



#三日坊主 #一声説 #一我説 #一篇説

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ