[198]
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『城』
こんな空と、私は出会ったことがなかった。
気が付けば30歳を過ぎていたが
10代20代から比べ
なにか物が知れたかと言われれば
ある程度は「はい。」と応えはするが
本心というものは、愈々(いよいよ)色づきはじめて
自身を見失うことが多く
想像すらしなかったことに
お金も賭けてしまうほど。
友を想い出せば
もう、会うことは出来ないだろうと
愁いたりするし
親を想えば
まだ、なに一つ親孝行出来てない、と、
フゥとした、幽かなかたまりのかたまりの
肩を落としたりする。
一方では、笑えないことも多くなってきたが
他方では、変なことで笑うことが多くなってきた。
変な笑い方をヘラヘラしたあとに
仮想空間で溺れては
気持ち悪く、生臭い、噦りで
着地し、足場さえも調えられないまま、
足の薬指には、何故か、力が加わり、
その感触と、感覚だけが、伝わってくる。
これも、あれも、どれも
誰も悪くない、何も悪くない
悪い人なんて、悪い存在なんて
どこにもありゃあ、しないんだ!
自分自身が選ばせて頂いた道なのです。と、
横浜の駅のホームで呟いたりしている。
きっと本当の優しさは
優・し・さ・に触れたのなら
その優しさよりも大きな力を能えてしまうことだろうと
ファッションビルを歩いては
ふたたび呟いている、そんな生意気な心模様…
ラジオも、碌に
聴かないのに
話し方も分からないのに
一人ラジオ放送をしてしまっている。
お、あ~~、そっか
あの頃から
何も変わっては、いなかったのか。




