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『自然 ー彼女ー』


彼女は僕達の全てであり

彼女は、僕達をその輪舞のなかに

招待してくれます

彼女は、あどけない少女のような

顔を持ち合わせながら

同時に、調和的気品が漂う淑女でもあります

彼女に恋する者は

その手をそっと握り返してくれて

微笑み、有限と無限の彼方へ

僕達を連れ去ってくれます

彼女を愛する者は

その真摯な心持ちのなかで

大気(プラーナ)の母乳を吸って

彼女と抱き合い、ひとつとなって

婚姻を果たし

永遠なる至福を約束してくれるのです


彼女は、とどまることを知りません

彼女は、静止することを魅せておきながら

絶え間なく、無償の愛の創造運動を

行い続けているのです

彼女は、いつでも未来を語りながら

その身体は、太古のままなのです

彼女の胸元で戯れることを

彼女は、(とが)めはしません

彼女に、逆らう者がいたとしても

彼女は、優しく日ごとの食物を

与えて下さることでしょう


彼女の優雅さには

病める者も疲れた者にも

そっと、生命力の源である

聖なる息吹きを

吹きかけて下さることでしょう

彼女を、僕達が忘れていたとしても

彼女は、木陰から、秘かに

天上の祈りと愛のテレパシーを

僕達に贈り続けて下さいます

僕達は、その彼女の祈りのなかで

聖霊の御加護を賜り、日常という営みに

神性と彩りを発見し、幼子のような喜びを

感受することが出来るのです


彼女がいなければ、そこに愛は、生じず

また、命もありません

一枚の葉のなかに

彼女の幾千もの姿を垣間見ることが出来ます

いつでも彼女は、僕達のなかにあり

僕達は、いつでも彼女のなかで

呼吸をしております


彼女の演技ほど、僕達を魅了するものはなく

彼女のドレスほど、美しいものはありません

彼女のまえでは、どんな一流の画家でさえも

才能は乏しくなり、また、彼女のまえでこそ

僕達の才能は豊かに覚醒していくのです


彼女の慈悲の涙は、雨となり

渇いた僕達の心の深淵に

潤いを与えてくれます

そして、その潤いから

僕達は、天上の御心を知って

改悛し、感謝と喜びの祈りと

礼拝をするのです

それがやがて

天なる雲を創造します

ですから、雲とは、彼女と僕達が愛し合った

愛の軌跡、そのものであり

それこそ、あまたの生命の源となる豊かな

海となるのです


愛する彼女と、僕達は

一時も、離れることは、ありません

いつでも、どこにいても一体であり

一緒なのです

この彼女の愛の囀ずりに

気付かない者は、哀れです

僕達は、彼女からの愛に気付くことから

全てが始まり、永遠の道

完成への道を

歩み出すことになるのでしょう

何故なら、彼女は

僕達の全てであり

僕達と彼女は

はじまりから、おわりまで

ひとつなのですから

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