[305]
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『どうやってもラファエロはラファエロ』
ラファエロは本当の光を知りたかった
暗闇を照らす
本当の光を……
ただそれだけだった
それは
たとえば
ダ・ヴィンチにどう思われようと
ダ・ヴィンチを愛することだった
愛の可能性を知りたかった
天使を描き
富豪を描き
洗礼者ヨハネを描き
エゼキエルの幻視を描き
聖母を描き
数々のイニシエーションを経た
そうして
1つ気付いた。
ラファエロ自身のなかにも
神様のような愛の破片があることを……
この破片は
まだ小さなものであったが
これは確かに
自身の心の全てを統治するパワーがあった。
これによって
主が
「幼子のようになりなさい。そうすれば天国にいけます」
と、言われていることを
少し、理解できた。
それから
ラファエロは自身の工房を持つようになり
弟子は持たない主義であったのに
後継者が登場するほどになった。
30代で昇天した
ラファエロやショパン
太宰治や芥川龍之介
中原中也も
○を
△にして△を□に
それから×にしたのだったが
○は○だった
そして
メタモルフォーゼとも云える
◎になれたときは
もはや移行でもなく
即興、進化、存在、究極、運命、宿命、本質、御大事、愛、サイクルでもなく……
血のかよった
メルヒェン
血のかよった
メルヒェン
血のかよった
メルヒェン




