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『流入』
空のキャンパスを駆けていったすじ雲が
ぼくの心の斜方形に剥がれ落ちた
飛び交って宙をひるがえす燕達が
カルミアの花を咥えながら
かつて詩人と祭司がひとつだったあの頃に
ぼくを置いていった
それから
ぼくは思った
「現代では、あの頃1つであった、愛の詩の預言と政が、バラバラになってしまった。だからそれを繋ぎ止めようとして、疫病が流行ってしまったんだ」
そして
ぼくは夕凪にたたずむ
遠い山々に住まう神々に
胸のシンバルを打ち鳴らし祈った
「神々よ、どうかこの悲しみを癒したまえ!」
すると
ぼくに神々の感情が流入した
ぼくは気が付いたら全身を震わせながら
深藍の涙を流していた




