ステータス確認
この世界には人間族、魔族、魔物がいる。
人間族は知能が高く繁殖力も高いため他の種族より多くいる。魔族は人とは異なる身体的特や魔力の保有量が多い。例としてはドラゴニュートやエルフなど。魔物は魔族と似ているが知性がなく凶暴である。
200年前、魔族と人間は良好的な関係だった。けれど魔族の裏切りにより国王の娘が迷宮に誘拐され殺害された。
それ以降も魔族の襲撃や拉致行為が相次ぎ最終的に戦争にまで至ったそうだ。
「それであなた方には迷宮の調査と魔族との戦争で活躍していただきたい」
「何故その迷宮とやらに入るのですか?」
「どうやら迷宮の奥深くに魔族の重要な何かがあるらしいのです」
ハンザの言葉に反応したのはクラスの中心人物の根津煌騎だ。根津は当麻とは別の意味で人気者でクラスを引っ張っていくどのクラスにもいるリーダーだった。
どうやら教室にいたのはクラスの大半の17人と居合わせた双葉の18人のようだ。
「私たちはただの学生です。戦闘なんて出来ませんが……」
「おお!そうでした!信託の儀式を忘れておりました!」
「それは?」
「その儀式を行い内に眠る力を目覚めさせるのです。あなた方はさぞや強力無比になるでしょう」
どうやら召喚の目的は強力な戦士を手に入れるためだったようだ。
(当たり前か。それ以外に召喚なんてしないだろうな)
異世界召喚は軽々しく出来るわけではなく何年も準備し数人の上位魔法使いが高位の詠唱をして初めて成功するかしないかというくらいの代物らしい。
「帰る方法は無いんですか!?」
大木鈴というクラスメイトの言葉にハンザが否定する。
「私どももなにぶん文献の方法を試したに過ぎないのです。その文献には帰還の方法がのっておらんのです……」
「ふざけんなッ!!何で俺らがそんなことしなきゃいけねぇんだよ!?」
譲二の言葉に予想外の人間が否定した。双葉と煌騎だ。
「帰る方法が無いのでしたら私は助けたいと思います。こういう場合だと平和になれば帰れるのでしょう?ならば皆さんで力を合わせましょう」
「俺自身は助けてあげたい。ただ皆に強制をする気はないよ。ただ俺と一緒に来てくれるなら命に替えても守ってみせる」
(何であんたがそんなこと知っているんだ…)
二人の人気者の発言により大半が助けるという選択を取ったらしい。
双葉の言葉に湊は反射的にツッコミそうになったが何とか堪える。
「取り敢えず身を守る力ぐらいは欲しい。まずは信託の儀式とやらをしてもらえないでしょうか?」
当麻の言葉で全員取り敢えずは信託の儀式とやらの場所に向かった。
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「ここです」
ハンザに案内されついた部屋は殺風景な部屋だった。部屋には魔方陣のみ。その魔方陣に天井から陽光が降り注ぎ神々しさがあった。
「確かに信託というだけあるな」
「全員一緒で結構ですので魔方陣の中にどうぞ」
言われた通りに魔方陣の中心に集まる。
「『我が慈悲深き神に祈り奉る__この者達に神の加護を』」
祝詞のような言葉が終わると同時に天使の羽のようなものが降り注ぎ、目の前にウィンドウのようなものが現れる。
[※碧山 湊 種族:人間 ※]
体力 15
魔力 3
筋力 2
敏捷 2
耐性 3
技能 召喚魔法(灯火)
職業 召喚術師
称号
(………ん?)
「皆様ほどになるとさぞかしすごいのでしょうな」
「あの…この守護騎士というのは?」
「おお!双葉殿もう上位職業が!?普通は何年も修行して初めて神から頂くものです。騎士ならば皆を守る事に特化しております」
全員自分のステータスを確認しているようだ。
「この世界の者達は始めの平均が10です。皆様ならば30はいっているでしょう」
(……………はぁ……)
心の中でため息をつく。
一人一人ハンザに確認してもらい色々と教えてもらう。湊の番だ。
「……おや?」
「………」
チラッ。
チラッ。
「………」
「見間違いなら良かったんですけどねぇ…」
「_____」
「あれ?ハンザさーん!」
「__ハッ!?すみませんかなり…その…特異だったものですから」
ハンザの様子に気になったのか全員が湊のウィンドウを覗き込む。
覗いたことでハンザの言った意味が分かったのかみんな微妙そうな顔をしている。
「…大丈夫ですよ湊さん!私が守りますから!」
「わ、私だって守るよ!職業だって同じだもの」
「う……」
「いや、奈緒と会長……それ男が言われたら地味にショックですよ…」
「ぐふっ……」
二人の言葉と止めの当麻の台詞にノックアウトされた湊は頭を抱えてしゃがみ込む。
「いや、しかし召喚師はあまりおられないのでありがたいことですよ!?何せ召喚魔法なんて強力な魔物を従えることが出来るのですから!!」
奈緒のウィンドウを見る。
[※小鳥遊 奈緒 種族:人間 ※]
体力 145
魔力 200
筋力 85
俊敏 55
耐性 215
技能 召喚魔法 (焔)(凍)(雷)(樹)(閃)(闇)
職業 召喚術師
称号 勇者の友
「____」
「目が死んでるよッ!?落ち着いて!魂出てるからッ!?」
取り柄がないのは異世界でも同じだったようだ。
いや、それどころか異世界の人より弱いって……。
「ま、まあ人それぞれですからな……精進あるのみですな」
ふと、煌騎のウィンドウを見たハンザが驚愕する。
「ゆゆゆゆゆゆ勇者ですとッ!?勇者様!?」
[※根津 煌騎 種族:人間 ※]
体力 300
魔力 300
筋力 300
俊敏 300
耐性 350
技能 聖錬 極限解放 意志強化
職業 勇者の卵
称号 見習い勇者
「俺が勇者なんておこがましいな。当麻君の方が似合ってるけどね」
「さすが光輝くん!!」
「かっこいい……」
発言もイケメンで女子達がキャーキャー言っている。
こういうときはリア充死すべしとか言うべきか。
「これはすぐにでも準備して訓練致しましょう!すぐに教官となる者を呼んで参りますゆえ」
「その必要は無いですよ。俺はここにいますから」
いつの間にか入り口に男が立っていた。
野性的な顔立ちに武骨な大剣を二本も背中に背負っている。両方使うのだろうか。
「俺は騎士団第1隊隊長のグレンです。どうかよろしくお願いします。勇者様御一行」
「グレンよ。皆様の特訓を見てやっておくれ」
「了解ですハンザ様」
こうしてクラスメイト全員での特訓が始まった。
まずは武器の使い方から。
職業によって使いやすい武器と使いずらい武器があるためだからだそうだ。
それが終わると魔法の詠唱。
そんなわけで数日が過ぎていった。