バク
僕の夢は、小学三年生の頃から変わっていない。
それは医者だった。理由は至極簡単で、父がそうであったからだ。
小学三年生の時に僕は肺炎を患った。その時に運び込まれたのが父が勤める大西総合病院だった。僕はこの時、少し嬉しかった。というのも、僕がそんな大きな病院にお世話になるのは初めてだったし、なにより父の働いてる姿を見れるということに興奮を隠しきれなかった。
『医者』という仕事に興味がなかったわけではない。父も極力家ではそういう仕事の話は避けていた。だが、僕が医療について何か質問すると、嬉しそうであった。医療のついての質問といっても所詮子どもがする質問である。くだらないものばかりだった。それでも、懇切丁寧に教えてくれた。その時の顔は今でも覚えている。
僕が入院している間、見れる範囲で父を観察した。そこには医者の顔をした父がいた。ある時には優しい顔で患者さんに接したり、ある時には真面目な顔で患者さんの話に耳を傾け、またある時には緊急搬送されて来た患者さんの手術に携わっていた。
そんな父を見て僕もこうなりたいと思った。患者さんに慕われ、医療技術も抜群で、みんなから感謝されるような医者になりたいと思った。
それが僕の指針で、目標で、ゴールであった。
と、ここでペンを置いた。なかなか自分でもいいのが書けた気がした。「将来の夢」という題材の作文の宿題が出されたのはちょうど1ヶ月前である。なぜ今まで手をつけなかったのかと言うと、自分の夢はこれだと自分は本当に語れるのだろうかと四六時中葛藤したからだ。しかし、ようやく覚悟を決めたのた。
僕の夢は……………………………………………………
……僕の夢は……僕の……夢……は…………あ、れ、?なんだっけ?