第8話:夕食と魔法家事
他の作者の方と比べて、僕の作品は、1話1話の文章量が短いですね。
1話1話を伸ばせるようになりたい。
恋心を抱いたことはない。
そもそも、異性と仕事以外で話したことが、あまりない。
なぜなら、子供の頃、魔法剣士になることしか考えていなかったから。
唐突だが、これが俺──フェクターの性別事情である。
そんな俺は今、ルナの家に上がらせてもらっている。
いいのか?と悩んだものの、最終的に家に上がらせてもらった俺は、とても硬かった。
「お邪魔します」と言いながら、カクカクとした動きで軽く頭を下げた俺は、いきなりルナに笑われた。
「あはは。かしこまって頭下げなくてもいいのに」
俺は、頭を下げたのが悪いわけではなかったことに安堵した。
「どうしたらいい?」
「こっち来て」
俺はそのままダイニングに通された。
「あの椅子に座っといて」
言われるがままに座る。
ルナは、白っぽい色の大きな箱の戸を開けて、透明な袋を取り出した。
袋の中には、切られた野菜。
ところどころ凍っている。
ルナはそれを皿に出すと、別の小さな箱に入れて、その箱のボタンを押した。
「ピッピッ」という軽快な音がなり、次いで「ウィーン」と言い始めた。
「・・・何をしているんだ?」
「冷凍してた食べ物を温めてんのよ」
どうやら、食べ物を凍らせて保存しているらしい。
ということは、あの大きな箱は氷室のようなものだろうか?
だとすれば、なかなか便利だ。
その間にも、ルナは手際よく、いろいろな料理を用意する。
「ピー」と小さい方の箱が鳴った。
ルナが箱から野菜を出すと、さっきは気づかなかったが、調理された野菜が、湯気を上げながら出てきた。
先ほどまで凍っていたのに、ホカホカだ。
とても便利なものだ。
その他の料理も盛り付け、「よしっ」と小声で呟いている。
ルナは料理を2人分持ってきた。
1つを、俺の前の席に。
そして、もう1つを、俺の座っている場所に置いた。
「・・・これは・・・?」
「残さないでよ」
食べろ、ということらしい。
俺は手を合わせ、食べ始めた。
美味しい。
少なくとも、向こうの世界のものより美味しいだろう。
そんな俺の前で、ルナはのんびり食べていた。
「ごちそうさま」
俺は手を合わせる。
ルナは食べ終わった直後だった。
俺は、せめて何か役に立とうと思い、皿洗いをすることにした。
「皿は魔法で洗っとくよ」
「魔法見せて」
ルナは魔法に興味があるらしい。
俺は頷いて、皿を持って立った。
俺は流しに皿を持っていき、流しの上で水魔法を発動した。
「ウォーターボール」
言い終わると、流しの上に水の玉が出現する。
さらに、
「スモールトルネード」
と、弱い風魔法をさらに弱くして水中で発動し、水の玉の中に渦を発生させる。横で見ているルナが、「おぉ・・・」と、声を上げた。
皿を持ったまま、手が入らないように水に皿を入れ、渦の強さを調節し、水の力だけで落とせるだけ落とす。
すべての皿を軽く洗った後に、ウォーターボールを一度解除する。
油で汚れた水が、排水溝を流れていく。
「ルナ、洗剤ある?」
「はい」
横で興味深そうに見ているルナから、洗剤を受け取り、
「ウォーターボール」
と言い、再びウォーターボールを発動。
そして、洗剤を数滴入れる。
「スモールトルネード」
風魔法を水中で発動し、泡立てた後に、皿をさっきと同じように入れ、渦で丁寧に洗い流す。
そして、洗い終わった皿にも。
「ヒートウィンド」
温風を当てて乾かした。
魔法があると、こういう時便利だ。
洗い物がすぐ終わる。
横で見ていたルナが、
「皿洗い機みたいね」
と言ってきた。
役に立てたようだ。