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異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第1章/異世界馴れ初め編
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第7話:輝く夜

辺りは真っ暗になっていた。

俺──フェクターは、大きなコートを羽織って、ルナと山を下りていた。

なぜ、コートを羽織る事になったのか?

話は、1時間前に遡る。

〜〜〜〜〜

剣がおかしい、という事を知り、俺が青ざめている間にも、ルナは考えていた。

ルナは、「気にしすぎよ」と言っていたが、最終的には、意見を出した。

その意見は、「剣を隠して、目立たないように移動する」である。

いい案だと思った。

なぜ気づかなかったのだろう、とも思った。

そしてルナは、

「ちょっと待ってて。

用意してくる」

と言って山を下りていった。

俺は、

「気をつけろよ」

としか言えなかった。

俺は、建物の影──ちょうど階段からは死角になる位置に移動した。

女子にすべて任せるのは、いくらなんでも悪いだろう。

だが、何もできない。

俺は、いずれ何かを返そう。

でも、何を返せば・・・?

いくら考えても、今は意味があまりなさそうなので、家に関して考える事にした。

さっきのルナの反応を見るに、俺が家を買うのは、何かまずいのだろう。

やはり、野宿する事になるのだろう。

その時は、ここを使おう。

半日、誰もこなかったし。

屋根壁は、魔法があればなんとかなるだろう。

と、考えていると、コツコツと足音が聞こえ始めた。

影から出て、階段に目を向けると、そこそこ大きな布製のバッグを持ったルナが立っていた。

彼女は、俺を見て微笑みながら言った。

「これで、なんとかなるわ」

ルナがバッグから出したのは、黒っぽいコートだった。

裾が長い。

俺が着れば、膝下まで隠れそうだ。

渡されたので、上から羽織る。

「どうかしら?」

「ぴったりだ。

ありがとう」

心配そうな顔をしたルナに、俺はにやりと笑いながら頷きかけた。

袖を通すと、剣は外から完全に見えなくなった。

少しぶかいが、そのおかげで剣がコートの内側に入るゆとりがある。

俺の答えを聞いて、満足そうに頷いたルナは一言、

「ついてきて」

と言って、ゆっくりと歩き出した。

〜〜〜〜〜

そして俺は今、山を下山しきった。

空を見上げると、満点な星空と、丸い大きな星があった。


月もあるらしい。

トネアで見たものより丸い月。

銀色に光る満月。

だが、不思議な事に、星もはっきりではないが、十分見えていた。

とても綺麗な満月だ。

綺麗で、声も出ない。

「ほら、行くよ」

ルナが、空を眺める俺を促した。

「・・・ああ」

俺は頷き、目線を下ろした。

すると。

「・・・おぉ」

思わず、息が漏れた。

綺麗だ。

遠くに見える街も、電気と呼ばれる技術によるものか、星のように輝いていた。

空も街も、とても綺麗だ。

気をとりなおして、俺は歩き出す。

星のように輝く街に向かって。

「フェクター」

ルナが話しかけてきた。

「心配しなくても、毎日見れるよ」

なんだその言葉は。

まるで俺が景色に感動しているような言い方だな。

でも。

「・・そうか。

いい世界だな」

俺は、頷いた。

どうやら、自分で思っているよりも感動していたらしい。

「・・・・・」

ルナは、複雑な表情をしていた。

悲しみと嬉しさ、懐かしさが混ざったような表情。

本人は、いい世界とは思ってないのかもしれない。

「・・・行くよ」

でも、やっぱり最後は微笑みながら言った。

俺は、ルナに続く。



街に着いた。

誰も剣を持っていない。

やっぱり、自分の知っている世界とは違う。

剣を今見せると、大騒ぎになるだろう。

ルナは、曲がり角を迷うことなく、どこかに向かっている。

曲がり角をかなり多く曲がった。

もう、俺1人では、さっきの山まで戻れないだろう。

そんなことを考えながら歩くこと5分。

ルナは、一軒の家の前で止まった。

いたって普通の一軒家だ。

門を通り過ぎるときに表札を見ると、「池逢」の文字。

ルナの家らしい。

「確認するけど、家がないんだよね?」

ルナが振り向く。

俺は頷く。

ルナはなぜか頷くと、

「じゃあ、入って」

と言って、ポケットから鍵を出し、ドアの鍵穴に差し込んだ。

「・・・え?」

ルナの家・・・だよな?

なんだこの展開の速さは。

いや、でも・・これは。

・・・・いいのか・・・?

フェクターは、割とチキンなとこもあります。

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