表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第1章/異世界馴れ初め編
6/40

第6話:日本

フェクターの説明が終わった。

私───ルナは考える。

正直、簡単には信じられない。

言っていることが本当なら、彼は、珍しいことにもトネアという異世界から来たようだ。

覚えてないらしいが、事件もあったらしい。

その事件について、いつか思い出してくれることを願う。

だって気になるもん。

「じゃあ、こっちの番だね」

私は、この国──日本について、説明を始める。

「この国は、日本って言うんだ」

まずは何を説明しようか?

法律?常識?国?

あ、そういえば、この人剣持ってるな。

剣は持ってるとまずいだろう。

よし。

「まず、剣は持ってちゃいけないよ」

「えっ?ダメなの?」

フェクターは、私が予想していたより、かなり反応が薄かった。

もっと驚けよ。

「うん。

銃刀法って法律があってね、銃とか剣とか、人を殺せるものは、持ってちゃいけないよ。

それ、真剣でしょ?」

かなり短く銃刀法を説明して、一応確認する。

フェクターは頷き、剣をゆっくり抜いた。

本当に刃があった。

金属でできた剣。

彼は、近くに生えていた高さ2メートルほどの細い木の前に立った。

右手に剣を持って、剣を正眼に構えている。

彼が右手の手首から先だけを素早く横に動かすと、剣が鋭く振られた。

ヒュンッ!という綺麗な音が聞こえ、光が一瞬反射した。

バサッという音がして、音のした方を見ると、木が切断されていた。

「・・・・これで、わかったかな」

フェクターがつぶやき、剣を鞘にしまった。

その剣が真剣ということがはっきりして、思わず息を飲む。

「・・で、銃って何?」

驚いて黙っている私と反対に、微笑みながら質問する彼を見て、私は今さらながらに異世界の、剣を持っていいという常識を理解した。


説明再開。

「銃は、遠距離の人にも攻撃できる、人1人で扱える最強の武器よ。

撃たれたら、高確率で死ぬわ。

まあそんな武器があるから、剣が使われなくなったわね」

私は銃をそう説明した。

彼は、「魔法に似てるな」と言っていた。

いつか魔法も見せてくれるのだろうか?

さすがに使えないだろうけど、できるものなら使ってみたい。

「この世界であった戦争は、最近のはだいたい、銃と爆弾が使われてるわ」

爆弾は、あちらの世界にもあるらしく、フェクターは何も聞いてこなかった。

私は、その他にもいろいろ説明した。

お金に車、電気にガス....

彼が一番反応したのは、意外にも学校だった。

「ガッコウって、行かないといけないのか?」

「フェクターは16歳でしょ?

じゃあ義務じゃないわ。

行ってる人の方が多いけど」

フェクターは、顎に手を当てた。

学校について悩んでいるようだ。

「・・・・まあいいか」

彼はそう言うと、手を下ろした。

解決したらしい。

「ガッコウはいい。

家の買い方を教えてくれ」

やはり、悩んでいたのは学校のことだったらしい。

解決したのはいい。

だが。

「は?」

家を買う・・・・?

急だな。

どうしよう。

・・・あっ、そうだ!

「そんなことより、ゲームって知ってる?」

これぞ秘技、「話をそらす」!

・・・・・まあ中二病的発言は置いといて。

うまくいったか!?

「なんだゲームって」

かかった!

よかった、ゲームの事話してなくて。

「ゲームって言うのはね・・・」

ゲームについて説明する間に、私は、家についてどう答えるか考える。

「・・・って言うのがゲームでね、他にもいろいろ種類があるんだ」

「そのカードゲームなるものに似たものなら知ってるぞ。

ルールは違うようだがな」

「どんなの?」

ああ、いかん。

気になる事を聞いてしまった。

でも、今は家よ家。

「ルールはな、まず、3枚のカードを・・・」

ああどうしよう。

どっちにも集中できない。

あ、でも住むだけなら・・・。

「・・・・という時は、そのカードを・・・ん、どうした?目が泳いでるぞ」

「ハッ!」

どうやら、家を気にしすぎたらしい。

聞き忘れてた。

「いや、家のことなんだけど」

「・・・それ考えながら聞いてたのか?」

「うん」

あ、驚いてる。

「とにかく、住む場所なら、なんとかなるわ」

「本当か!?」

「多分」

あ、すごい驚いてる。

でも、そんなことより大きな問題がある。

「さっき、剣を持っているのはまずいって言ったでしょ?」

私が問うと、フェクターは頷いた。

「ああ、やばいらしいな」

「じゃあわかると思うけど、あんた、町には行けないよ」

私が言うと、フェクターは、しばらく真顔で首をかしげていた。

だが、2秒ほどすると、その顔が驚きの顔に変わった。

「じゃあここに来るまでもまずかったのか?」

「見られてたら、まずかったわね」

「・・・・・!」

フェクターの顔が少し青くなった。

「見られてないから、大丈夫よ」

「本当にか?」

いやいやフェクター。

そう問われると、自信をなくすじゃん。

「・・・多分」

また、フェクターの顔が少し青くなった。

なかなか、面白い。

でも、本当にどうしよう。


そうこうしている間にも、夜は近づいていた。

フェクター達が今いる世界は、読者のみなさんがいる現代日本と、基本的に同じです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ