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異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第1章/異世界馴れ初め編
4/40

第4話:廃神社

ここまで話して気がついた。

トネア王国とこの異世界は、「言語がほぼ同じ」ということに。

トネア語がしっかり通じている。

さらに、トネア王国では、隣国から伝わり、以来使われ続けてきた「ボカズ語」も、ルナの言った、「池に逢うと書いて」という言葉から存在していることがわかる。

よく見ると、ルナの持っているカバンに書いてある文字も、ボカズ語だ。

字も同じらしい。

俺に都合が良すぎる。

まるで、誰かが仕組んだのかのように都合が良い。

いや、決して悪くはない。

これから過ごすのに、とても楽だ。

今は、気にしない。

今後、調べることにしようか。

覚えていれば。


だが、トネア王国について説明する前に、確認しないといけないことがある。

「ルナさん」

「何よ」

話しかけると、ルナは思っていたより不機嫌そうな声を上げた。

「敬語をやめて良いでしょうか?」

ーーー後から考えると、恐ろしく失礼なことを言っている。

今後は、もう少し考えて発言しよう。

幸いにも、ルナはまったく気にしなかった。

「ああそんなことか。

別にいいわよ。

なんなら、ルナって呼び捨てにしてもいいわよ」

俺は、ルナがフレンドリーで、本当に良かったと思った。

「・・・じゃあ、そうさせてもらうな」

「どうぞ、フェクター。

あ、フェクターって呼ぶね」

「・・うん」

考えて見ると、最初から一度も敬語を使ってないなこいつ。

前言撤回。

ここまでフレンドリーだと、いつか何か起こしそうだ。

少し 遠慮を覚えた方がいいかもしれない。


まあそれは後だ。

さっさとトネアについて説明しよう。

「えーっとですね・・・」

何から話すべきか・・・・。

と、ここで俺は重要なことに気づいた。

ここで話すと、塀の向こうに人が通った時に聞かれてしまう。

俺は構わんが、ルナに悪いだろう。

場所を移してもらおう。

「・・・・人が通らない場所で話した方がよくないか?

こんな話、聞かれたらお互いマズイだろ?」

ルナは、「なるほど」と言い、少し、下を向いた。

「・・・では、そこの山にある神社跡地に行こうか。

人はまったく通らないし。

知名度ないし」

そう言ってルナは俺の後ろ側にある山を指さした。


ということで。

俺は今、山の階段を登っている。

時間は昼ごろらしい。

そんな、そろそろ気温が上がりだす時間に、俺とルナは、手入れされず、人が通った形跡すら残ってない階段を登る。

聞こえるのは、風のざわめきと、鳥のさえずりのみ。

登り始めてはや10分。

階段に終わりが見えない。

両側には、延々と似たような木々が並んでいる。

近くの茂みからは、蛇が這うような音がしょっちゅう聞こえる。

俺は蛇が嫌いだ。

だから、俺は今、精神的にも体力的にも、少し疲れている。

ルナはどうなのだろうか?

少し、ルナと話すことにしよう。

「なあルナ」

「どうしたの?」

その声からは、疲れを感じない。

元気そうだ。

・・・・・・・・あれっ?

・・・・・・同い年・・・・・なんだよな?

「あとどれくらいで着くんだ?」

そろそろ休みたくなってきた。

「ちょうど見えてきたわ」

言われて坂の上を見ると、屋根のようなものが見えてきた。

よほど古いらしい。ところどころ穴が開き、今にも崩れそうだ。

全体が見えると、思ったより荒れていることがわかった。

壁に穴が開いている。

賽銭箱も、大きな横穴が空いていた。

残念だが、お金はもう入ってないだろう。

・・・・・・・・・・・・・いや、盗らないよ?

俺がいろいろ考えていると、ルナが説明を始めた。

「ここは15年前に、人がまったく来なくなって潰れた神社よ。

交通の便が悪すぎたのが原因だと、私は踏んでるわ」

ルナの説明を聞きながら、境内を見渡す。

苔の生えた石灯篭は崩れかけていたが、まだ形を保っている。

地面は膝までの高さの草が多く、水も枯れかけている。

時々、一滴落ちるが、その程度しか水が出ていない。

しかも、ここに来る前は明るかったのに、ここは薄暗い。

上を見上げると、周りの木々が生い茂り、狭い境内を覆っている。

遠くの木から、黒い鳥が飛び立った。

ここは、神社跡地というより、廃神社と呼んだ方が、違和感がなさそうだ。

まったく手入れがされてない。

だが、好都合だ。

たしかに、あんなことを話すのにはここはちょうどいいだろう。

近くにあった長方形の石に、ルナと腰掛ける。

「じゃあ、今度こそ教えてね」

俺はうなずく。

「じゃあ、そうだな・・・まずはトネアについてだ」

ルナの顔が、「待ってました」と言わんばかりに輝く。

俺は説明を始めた。

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