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異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第4章/文化祭編・裏
30/40

第30話:合唱大会の日

召喚魔法は、ルナからしてみたらかなり不思議なものだったらしく(当然か)面白がってもらうことはできた。

ただ、思ったより調べるのに時間がかかり、魔法陣に関して全て完了したのは文化祭の前日だった。

すでにゲーム当日が目前に迫っている。


ゲームといえば。

いい加減暗殺者の名前聞いときたい。

暗殺者って文字数多くて言いにくいし。

もう略して暗ちゃんでいいか。

暗ちゃん。うん、言いやすいな。


暗ちゃんという呼び名を決めて、俺は布団に入った。


金曜日。

ルナを送り出して、俺は家事をする。

家を出るのは、いつもより遅い時間。

古文堂にはバイトを休むことをもう伝えている。

いつもより悠々と掃除機をかけると、ちょうどいい時間になった。

俺は魔法陣とゲームの範囲が書かれた地図、そしてお金を持つと、街に出た。


「今日は合唱大会か」

俺は誰に向けるわけでもなくつぶやいた。

──つもりだった。

「合唱大会はあっちの体育館だぜ」

しかし。

どういうわけか、独り言に返事が帰ってきた。

「ああ、誰かと思えば暗ちゃんか」

「ちょい待てや。なんだ暗ちゃんて」

「暗ちゃんは暗ちゃんだ」

そう怖い目で見んなって。


この時、もし次のクラスがルナのクラスでなければ、俺はここでゲームを勝手に初めていたかもしれない。

それくらいこの要件がめんどくさくなっていた。

『次は、一年三組。曲は──』

ルナのクラスか。

よし、これだけは絶対に見るぞ。

なんせ知り合いはあのクラスにしかいないからな。

「魔法剣士さーん。無視しないでくれー。

なになに、知り合いでもでんの?あ、あの右の人?それともあっちの男子?」

「うるせえ、しばらく黙ってろ」

なんでこいつはこっちが暇じゃない時にくるのかねえ。

「フッ...私は黙れと言われて黙る人間ではない!」

「『サイレント』」

俺は消音魔法を彼の顔にかけた。

静かになった。


さて。

ルナのクラスの歌はよかった。

ただ、少し声量が少なかった気がする。

結果は、やはり金賞では無かった。

銅賞だった。

6クラス中3位はいいほうだろう。

俺は微笑ましい気分になった。

そして、帰ろうと思って後ろを向いた。

「─────」

口パクで何かを訴えている暗ちゃんがいた。

正直忘れてた。

体育館の前のほうでは、在校生が駄弁っていた。

ルナと目があったので、軽く手を振ってから、体育館を出る。

もちろん、暗ちゃんもついてきた。


校門を出てから5分ほど歩き、人通りの少ない場所まで行くと、俺はサイレントを解除した。

「──かばーか!おたんこ...あれっ」

もう一回黙らせようかな...。

俺はそんな思考をなんとか押さえ込み、暗ちゃんに質問を開始する。

「なんで今日きたんだよ」

「きちゃ悪いか?」

「悪い」

即答である。

これには暗ちゃんも少し黙り、気まずそうに口を開く。

「だって、暇だったし...」

休みの日の趣味なしぼっちかよ...。

「だいたいお前、なんでゲームをしようって言ったんだよ?」

「遊び心は大切だよ?」

あんなシリアス感のある雰囲気だったのに遊び心?

ため息が出る...。

「あと、こっちのほうが重要だが、トネアのほうであんたらを送り込んだのは誰だ?」

「ゲームに勝てたら教えてやんよ」

自己中...。

まあ、まだトネアに戻れんわけだし、こいつはゲームにはくるだろうし、それでいいか。

「わかった。それをもし守らなければ容赦はしない」

「それでいいよ。本気で戦いたいし」

さらっと危ないセリフを吐く暗ちゃん。


いいんだよな・・・?

約束・・・守ってもらえるんだよな・・・?

今の口ぶりだと、守らないほうにも取れるが・・・


聞き返そうと思った時、暗ちゃんの姿はすでに無かった。

あの自己中野郎...


不安でしかない。

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