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異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第1章/異世界馴れ初め編
3/40

第3話:池逢ルナ

ヒロイン登場です。

俺はフェクター。

トネア王国の騎士団に所属していた。

騎士団所属なのもあり、様々なトラブルを想定して生活してきた。

だが。

誰が"異世界に飛ばされた"というトラブルを想定するだろうか?

俺は遭遇していなかった。

だから今。

過去にあった悩み事ランキングで、文句なしで一位に輝けるほどに悩まされている。

異世界に飛ばされた現実に。


「・・・・・先に質問させてください。」

悩んだ末、敬語を使うことにした。

「何でしょうか?」

まずは、この世界の基礎について。

「トネア王国を知っていますか?」

「何その国?」

「ならいいです」

ここで、トネア王国について軽く説明しておこう。

トネア王国は、周辺国の中でも、大きな力を持っている。

その“力”とは、発言力や国の軍事力、そして技術力など、多岐に及ぶ。

全世界に名前を知られているレベルなのだ。

だが、周りに見える建物の材料や、足元の石のようなものは、そのトネア王国でも見かけなかった。おそらくここは、トネア王国より、技術が進んでいる国だろう。

技術が進んでいるということは、トネア王国より格上の国と考えていいだろう。

トネアより格上の国は多くない。

そんな国の貴族(?)がトネア王国を知らないということは、トネア王国が存在しないということだろう。

この段階で、ここが異世界なのはほぼ間違いない。

この人が嘘をついている可能性もあるが、それを気にするとどうしようもないので、考えないことにする。

「次の質問です。

この世界には、剣はありますか?」

「あったけど・・・・もう使われてないわよ。

常識じゃない」

「・・・・・・」

ふむ・・・。

どうやら、剣が使われてないのは常識らしい。

トネア王国や、その周辺国では、剣以外の武器が少ない。

やはり、トネア王国のない異世界で確定のようだ。

しかし、剣が使われないのが常識か・・・。

だとすると、俺はかなりやばい人として扱われているかもしれない。

「・・まって、てことはあなたも・・・・・・・いや、でも・・・・」

「・・・・・?」

何かつぶやいている。

「ねぇ、まさかとは思うし、違ったらすごく恥ずかしいんだけど・・・・」

突然、女が聞いてきた。

「何でしょう?」

「あなた、異世界の人?」

聞かれた。

唐突に。

隠すこともなく。

これに俺は、動転した。

「・・・・なぜ?」

こんなわかりやすい反応をしたのは、うかつだったかもしれない。

女は「やっぱり」と言った顔をしつつ、口を開いた。

「私はいけあいルナ。池に逢うと書いて池逢ルナよ。あなたは?」

自己紹介してきた。

池逢ルナ、というらしい。

さて。

名乗ってもいいのだろうか?

このルナという女、「トネアは知らない」と言っていたことから、おそらく、俺のいた世界のことは知らないだろう。

異世界の人に知られていいのか?

むしろ、異世界の人を関わらせてはダメなのでは?

「・・・・・・」

しかし、ここまで質問して、用が済んだら「何も教えません」は、人としてどうなのだろうか?

「・・・・・・」

しかもだ。

名前まで聞いたのだ。

せめて名前だけでも言った方がいいだろう。

そもそも、まだ異世界の事を聞かれるとは限らないのだ。

うん・・・・・・・よし。

「俺はフェクターと言います。

16歳です。

あなたの予想通り、異世界からきました。

剣を持っているのは、騎士としての仕事中にここに飛ばされたからです」

ルナは、意外そうな顔をした。

そして、納得したような顔になった。

「・・・そっかぁ、同い年かぁ。」

一度小声でつぶやいたルナは、改めて俺の方に向き直った。

「・・・こちらの世界のことは、私が教えるわ。

代わりに、あなたの世界のことも教えて」

俺にとって、最高の条件だ。

もし、俺のことも考えて言っているのなら。

ルナは、物わかりの早い女だ。

「わかりました」

俺は、この条件を飲んだ。

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