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異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第4章/文化祭編・裏
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第29話:魔法陣の実験・take2

暗殺者がきてから、初めての土曜日が来た。

俺は、魔法陣を描いた紙とお金、水筒をナップザックに詰め、家を出た。

向かうのは、山にある廃神社。

魔法陣の実験だ。


異様に長い階段を登る。

蛇の這うような音は、聞こえないふりをする。

俺が最後にここを通ってから一か月といったところか。

案の定階段に人が通った形跡はない。


廃神社は、相変わらずボロボロだった。

境内には、落ち葉や枝が落ちている。

俺は、境内の真ん中に行く。

ここでいいか。

「『ウィンドボール』」

俺はウィンドボールを使って落ち葉を吹き飛ばす。

そこに荷物をおろした。


魔法陣を適当に取り出し、地面に置く。

魔力を流し込むと、魔法陣が淡い光を帯びた。

光が強くなった。

そして──

パヒューン、といったような、気が抜ける音がした後。

パーン、と。

空中で、大きな花火が炸裂した。

ただの爆発じゃなくて、あのカラフルな炎を円状に出すアレだ。

「・・・・・」

俺は、もう一度花火を発動させる。

今度は、魔力を少なめに、かつ、緑色の花火をイメージしながら、だ。

パヒューン...パーン!

「・・・おぉ」

結果、緑色の小さな花火が上がった。

どうやら、この魔法陣は、魔力量によって花火のサイズが変わり、発動者のイメージによって色が決まるらしい。

軍とかなら使えそうだが・・・俺にはあんまり使えそうにないな。


二つ目、三つ目の魔法陣は、発光しなかった。

つまり、効果のない魔法陣だった。


次の魔法陣。

俺は魔力を流し込む。

発光したので、効果はあったのだろう。

しかし、そのまま何秒たっても何も起こらない。

日の当たった背が暑い。

「ハズレか?」

不安なので、とりあえず言ってみる。

その時、俺は自分の影が薄くなっていることに気付いた。

いや、違う。

さっきまで快晴だったのに、空がどんより曇ってきたのだ。

「魔法陣のせいかな?」

期待を胸に魔法陣に魔力を注ぐ。

すると、頭上から、ゴロゴロという何かヤバそうな音が聞こえてきた。

俺が手を魔法陣から離すと。


ピカ...ドーン!

「ぅゎああぁぁ!!?」

目の前が真っ白になった。

いや、比喩じゃなくて、まじで視界が真っ白になった。

てかまぶしっ!

反射によって、まぶたが落ちる。


目を開けると、まず、無傷の魔法陣が映った。

そして、さっきまで自分の影があった位置には、焦げた土があった。

「まじかよ...!!?」

どうやら、落雷したようだ。

落雷を合図に、雲が四方に散っていく。

すごい魔法を発掘した。


いろいろ試してわかった。

どうやらこの魔法陣、発動者が3秒以上見つめた位置(この魔法陣以外)に落雷する魔法陣だったらしい。

なかなかいい魔法だな。


1時間後──


「これで最後か」

俺は、10枚目の魔法陣を手に取る。

魔力を流し込むと、淡く光った。

しかし。

「あれ?発動しない?」

いくら魔力を注いでも発動しない。

空を見ても、石を見つめても、変化はない。

その時。

俺は気付いた。

ペアの方の魔法陣も光っている。

俺は魔力を流すのを中断して、魔法陣の上に石を置く。

魔力を注ぐと、石がペアの魔法陣の上に出現した。

「やったぜ」

召喚魔法の魔法陣もかけていたらしい。

安心した。


こんな感じで。

俺は魔法陣を試して見た。

当たり、6枚:ハズレ、4枚

魔法陣には詳しくないが、見たことも使ったことのない魔法の魔法陣が6枚もできたのは奇跡だろう。

俺は荷物をまとめると下山した。

帰宅する時に、ついでにコンビニでキャラメルを購入。

欲しいのは包み紙だ。

まあ食べたかったのもあるが。


「おかえり。さっきまでどこ行ってたの?」

「廃神社だが、どうかしたか?」

「その辺り雷落ちたり花火上がったりしなかった?」

「・・・さあ、知らんぞ」

また隠し事が増えた・・・。


午後。

俺は、部屋でキャラメルを食べる。

欲しいのはあくまで包み紙だ。

ひとりで食べるのもなんなので、ルナにもいくつか渡す。

包み紙は、手のひらサイズ。

これに召喚魔法の魔法陣を書き込む。

これが意外に難しい。

魔法陣が細かいからだ。

その分、書き終わった時の達成感もあったが。


これは、いくらか試してからルナに見せよう。

魔法陣の効果を深く知らないまま使うと危ないらしいしな。

トネア騎士団の上官が言ってた気がする。


こうして、俺の魔法陣作成は、万歳できる結果に終わった。

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