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異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第4章/文化祭編・裏
28/40

第28話:魔法陣の実験

暗殺者がルール説明をした翌日。


俺は、できることなら暗殺者の隠れ家を「ゲーム」の日までに見つけておきたかった。

「ゲーム」で、暗殺者が人混みに行くなどして、攻撃できなくなってしまう前に、迅速に「ゲーム」を終わらせるためだ。


そんなわけで。

俺は、バイトの前に、街を歩き回り、暗殺者を探すことにした。

バイト後も、探してみることにする。


このバイト、本来は3時までだったのだが、大幅リニューアルのあとに、4時半までのびた。

と、いうのも。

店が人目につくようになり、学生の客が増えた。

きっと、ラノベの値段の張り紙が目についたのだろう。

が、ここで問題が発生した。

学生は、言うまでもないが、4時ぐらいから店に来る。

つまり、バイトのなかった時間が客足のピークとなった。

それでは悪いので、俺のバイトの時間を1時間ずらすことになった、というわけだ。


しかし、いくら探すとはいえ、簡単に見つかるはずもなく。

1日、また1日と。

手がかりを得られないまま、時間だけが過ぎていく...。


そんな最中。

俺は、「悪魔召喚」という、おどろおどろしいタイトルの本を見つけた。

それを見て、俺はふと思い当たる。

「そうだ。召喚魔法使ってみよう」


召喚魔法。

少し特殊な魔法で、魔法陣を描いて発動させるのが一般的だ。

ある程度上級の魔法使いにもなると、俺がウィンドボールを使うのと同じぐらいの感覚で使うらしいが、俺はそんなに上級ではない。

ちなみに、ウィンドボールなどの魔法も、魔法陣があるらしい。

つまり、魔法陣を描かなければ行けない、ということだ。

ではなぜ俺がこの魔法を使おうとするか。

理由は、武器の持ち運びにある。

日本では、凶器の持ち運びは禁止だ。

それに、棒なんかを持ち運んでいると、周りの目が冷たくなる。

だが、いざ攻撃するときに武器代わりになるものがあるとは限らない。

そこで召喚魔法だ。

バトルになったら武器を"召喚"すればいい。

バトルが終われば、"召喚"で送り返せばいい。

魔法陣は...少し習ったことがあるから大丈夫だろう。

よし、あとは紙だな。


「店長。裏が白紙の広告とかない?」

「あるぞ。こんどはなにを作るんじゃ?」

「いえいえ。私用で使うだけですよ」

俺は、さっそく店長から紙をもらうと、それを持ち帰る。

もらえた紙は20枚。

出来るだけ、この枚数内で完成させよう。


その夜。

「・・・出来た」

俺は、10種類の魔法陣を描き上げた。

すべての魔法陣が二つずつある。

実のところ適当に描いたので、どんな効果の魔法陣かはわからない。

けどまあ、こんな感じの魔法陣見たことあるし大丈夫だろう。

俺は1組の魔法陣を部屋の中央に置いた。

さて、と。

実験しますかね。


魔力を流し込むと、魔法陣が淡い光を帯びた。

この光は、魔力がチャージされている状態をあらわす。

そして、チャージが満タンになると、魔法が発動する。

効果なしの魔法陣ならチャージしても光らないので、これはなんらかの魔法が使えると言うことだ。

俺はワクワクしつつ魔力を流し込む。

光が強くなった。

そして──


「ぅおわっ!?」

強風が、部屋の中で吹き荒れた。

ウィンドボールの強化版か?

とにかく、魔法陣がペアである必要がないやつだった。

俺は、部屋に散らばった魔法陣を集める。

さっき発動させた魔法陣の余白部分に「風」と書き込む。


2組目の魔法陣を部屋の中央におく。

魔力を流し込むと、これも淡い光を帯びた。

光が強くなった。

そして──


水が発生した。

水は、しばらく空中を移動する。

そして、バシャン、という盛大な音を立てて、床に落ちた。

慌ててタオルで拭きとる。

俺は、魔法陣の実験を外でやることを決意した。


翌朝。

「昨日の夜、水こぼした?」

「・・・いや、こぼしてないよ」

「ふーん・・・まあいっか」

やっぱり聞こえてた。

夜中にすいません...。

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