第18話:出し物計画完成
バルーンアート。
それは、風船の芸術だ。
子供でも作れるものから、大人でも難しいものまで、その種類は多岐にわたる。
まずは、基本的なものから順に極めて行こう。
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私は、古文堂で買った本、その名も「誰でもわかる!バルーンアート入門」という、そこそこ厚い本を閉じた。
前書きから堅苦しい本だった。
だが、そのあとのページをペラペラ見ると、図が多く見えた。
──まあこの本は明日学校で見せるとして。
私は、文化祭実行委員で渡されたプリントを見る。
経費は、5千円。
それを使って何を用意するか。
それを考える。
──風船、何本いるかな・・・?
私一人で決められることは少ない。
やはり、クラスで話し合うべきだろう。
私は、本をカバンに入れて、ベットに入った。
翌日。
私は、放課後に発表した。
「文化祭の詳細を決めたいと思います。
まず、風船はどれくらいいるか。風船意外に何がいるか。
この二つを決めます」
私がある程度言うと、少しざわざわしだした。
「風船、馬鹿みたいに作ろうぜ」「静電気やばくね?」「見て見て、消しゴムタワー!」「おい」
・・・収集がつかない・・・。
そんな中、黒藻くんが質問した。
「具体的に、どんな感じで展示するんですか?」
「・・・あっ」
そういえば。
どんな感じ、か。
決めてなかった。
「それもそうね。今から決めましょう」
「それについては、考えてあるわ」
意外にも、声をあげたのは麗乃だった。
彼女は、黒板に図面を書き始めた。
それも、迷いなく。
──なんでスラスラかけるの?考えてたの?
「どうせ考えてないだろうと思って」
──人の心、読まんといて。
「別にいいじゃない」
マジで読めてるらしい。
サイキッカーかな?
セリフを心で言うのは、やめたほうが良さそうだ。
とかやってる間に、書き終わったらしい。
「こんな感じで、壁際と真ん中に机並べて、その上に風船並べたら」
黒板には、「回」の字のような図と、数字と矢印。
その数字と矢印は、丁寧なことに、それぞれの位置の机の数と向きについて書かれているらしい。
実に分かりやすい。
私としては、このやり方に賛成だ。
だが、みんながそうとは限らないよね。
確認は大事だし。
「ほかに意見ある人」
異論は、なかった。
「じゃあ、この図の通りに展示するわ
次、風船の数を決めたいと思います」
「はーい」
うん。
とはいえ、どう決めよう。
風船がどのくらいいるのか、分かりづらい。
でも、独断はよくないと思う。
クラスの出し物だからね。
と、ここで、黒藻くんが発言した。
「風船は、50個ぐらい買ってから決めない?
そのほうが見当がつけやすいと思うよ」
「それでいいですか?」
私は、速攻で確認をとる。
賛成は、多い。
というか、面倒くさそうだ。
風船以外もささっと決めてしまおう。
「風船以外に必要だと思うものがあったら、今私にいうか、このあと後ろの黒板に買いてください」
実は、この学校では、教室の後方に、小さな黒板がある。
担任の先生が使おうとしないので、基本的に何も買いていない。
つまり、書き込みは実質自由だ。
そこを、入学以来初めて使う。
さて、誰も必要物を言わない。
まあ、いずれわかってくるだろう。
「じゃあ、今日風船を買います」
こうして、クラス会議は終わった。