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異世界の魔法剣士〜in剣も魔法もない世界〜  作者: 柿ピー
第2章/アルバイト編
11/40

第11話:アルバイト

日本に限らず、生きていくのに最低限必要なものは、衣食住の三条件であると、俺は思っている。

衣食住すべてが揃っている俺の日本生活ではあるが、そのすべてがルナからの借り物である。

もし、ルナの家から追い出された場合(ないと思いたいけど)それらを俺1人で用意しないといけない。

衣食住のどれを手に入れるにも必要なもの。

それはすなわち、金である。

俺は、金を稼ぐことにした。


「アルバイトぉ?」

俺が新聞の求人欄を読んでいると、ルナが驚いたような声をあげた。

顔を上げると、ルナはやはり不思議そうな顔でこっちを見ていた。

「・・・何か問題でもあるのか?」

俺が聞くと、ルナは首を横に振った。

「いやいや別に」

「家計の足しになれば、と思ってね」

俺が言うと、ルナは目をそらし、

「気にしなくてもいいのに」

と小声で言った。

だが、最終的には、

「ありがとう。

頑張ってね」

と言った。

「? ああ」

・・・ルナは、なぜお礼を言ったのだろう。


今日は土曜日。

俺が日本に来たのが今週の日曜日なので、あれから3日たったことになる。

カレンダーを見る限り、日本とトネアは、休日の概念も同じらしい。

つまり、俺が日本に来て、早くも6日がたとうとしているのだ。

その間に、こちらの常識などの基本知識をしっかり学んだ。

トネアと大して変わらないのが救いだった。

今の俺は、池逢家のお手伝いさんのようなものである。

ルナは余裕ができたかもしれないが、俺は少し、いやかなり申し訳ない気分だった。

なんとか恩返しできないか?

そう考えた俺が考えついたのが、金稼ぎである。

俺が来たことで、池逢家の家計も、少し危ないかもしれない。

実はルナは困っているのかもしれない。

だから、俺が稼いで、少しでも手助けになれば──というのが、俺の考えだ。


ルナは

「まあいっか」

と言って、部屋に戻っていった。

俺は引き続き、バイトを探す。


俺は、悩んだ末に、近所の古本屋にした。

自給900円。

平日の午前10時から午後3時まで。

面接あり。

電話をすると、高齢の男の声が聞こえて、その人が

「面接は明日」

と伝えて来た。


翌日。

俺は無地のシャツに無地の黒ズボン(トネア製)を着て、古本屋に行った。

木製のドアにあった小窓から中をちらりと見てから入る。

ドアについている鈴が、チリンチリンとなった。

古本屋独特の匂いがした。

平日なのもあり、客はいない。

日に焼けた本棚には、ホコリも積もっていない。

古そうな本から割と新しそうな本まで、さまざまだ。

店員は、1人。

白髪まじりの髪をした、気の良さそうなおじいさんだ。

何かをえんぴつで紙に書いている。

店員は、こちらを見て、「いらっしゃ〜い」と言った。

「面接に来ました」

と言うと、店員が手招きした。

俺はレジに向かう。

店員は

「座り」

と言うと、えんぴつを置いた。

「失礼します」

一応言って座る。

「君は、フェクターくんだね?」

感心したような顔をしながら、店員は聞いてきた。

「はい」

俺が頷くと、店員は、顔に優しい笑みを浮かべながら言った。

「明日から来なさい。

待っとるよ」

「・・・えっ?」

受かったらしい。

「店員がわししかおらんのでな、礼儀が良ければオッケーじゃ」

運が良かったようだ。

正直、3回ぐらい失敗すると思っていたが、1回で合格できた。

「・・ありがとうございます」

俺がお辞儀をすると、おじいさんは笑いながら

「服装は自由。

昼食もこちらで出すから持ってこんでえーぞ」

と、明日のことを説明した。

俺は、お礼を言って、古本屋をあとにした。

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