第1話:転移
初投稿ですが、よろしくお願いします。
異世界なんて存在しない。
そう思っていた。
数時間前までは。
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俺はフェクター。
片手で持てる重さの剣を使う、一般的な剣士(16歳)だ。
魔法もそこそこ使える。
勤め先はこの国ーートネア王国の城。
勤務内容は、城の見回り、そして、万が一の時に城主を守ること。
いたって普通の騎士だ。
その日も、俺はいつものように中庭の見回りをしていた。
かれこれ、3年ほど暗殺はなかったらしい。
だから、いないと思ってた。
しかし、いた。
でも、俺は気付けなかった。
暗殺者に。
背後から切りかかられるまで、気付けなかったのだ。
「!?」
すんでのところで避ける。
しかし、暗殺者はそれも予想していたようだ。
すぐに追い打ちがくる。
剣を抜き、暗殺者の攻撃を剣で受け止める。
ガキィィィン!と、鋭い音が響き渡る。
強引に押し返して、距離をとる。
周りを見て気づく。
囲まれていた。
「何者だ?」
「・・・・・」
一応聞いてみたが、当然答えてくれない。
唐突に、正面にいた暗殺者が短刀を投げてきた。
それを剣で弾き飛ばす。
後ろできぬ擦れの音。
振り返ると、四人が切りかかってきていた。
同時に、短刀を投げた暗殺者が剣を構えて突っ込んでくる。
全方向に、風魔法で強風を起こす。
全員を離して、剣を構えた。
同時に、暗殺者を数える。
・・・・・・・・・10人いた。
どうやってここまで来たのだろうか。
もしかしたら、城外の見張りをしっかりと指導しないといけないのかもしれない。
一対十と言ったほどの戦力差。
5人同時に相手する状態が続いて、周りに目を向けられなかった。
なので、相手を9人倒したところで気づいた。
自分を中心に、たくさんの魔術記号で描かれた輪があった。
魔方陣である。
最後の一人が、魔術記号を書いている。
あれを書き終わると、魔方陣は完成だ。
「! やめろ!」
気づいた時には遅かった。
魔方陣が発動し、発光した。
光が、俺を包む。
暗殺者が描いたのは、転移の魔方陣だったようだ。
光で視界が狭くなっていく中、暗殺者がニヤッと笑った気がした。