4. 碧き瞳の乙女
身を引き締めるコルセット
幾重にも重なったフリル
同じ長さに切りそろえた、肩まで届く黒髪
それらに縁取られた白い肌
そして鋭く光る、深みのある碧い瞳。
口元には、怜悧な微笑み。
彼女は囁くように言う。
「あなたは私に、何をくれますか……?」
海岸沿いの街、リュシカ
この街には、昔から伝わる言い伝えがある。
20年に一度、海の神が、街へ使いをよこす。
その使者は、赤ん坊として街の女の腹に宿り、
器量のよさはまさに神々しい。
そして、その使いの者を幸せにできれば、街は安泰。
しかし、次の使者が送られてくる時までに幸せにできなければ
いくつもの天災に襲われる………
今回の使者は女であった。
その美貌に、15歳の頃から、男たちがつめかけた。
街の者だけでなく、噂を聞きつけたはるか遠方からも。
美女と街の英雄の座を、同時に手に入れられるのだから、無理もない。
しかし、彼女は誰にも心を許さなかった。
月日は流れ、あと数ヶ月で20年、
彼女の20歳の誕生日を迎えようとしていた。
街の人々は焦りをつのらせた。
嵐が街を襲うことが増え、
魚の穫れる量も減りつつあった。
まるで、海の神が苛立っているかのように。
躍起になって器量のよい男たちを彼女のもとに送り込んでも、
すげなく追い返されるだけ。
あふれんばかりの金銀財宝や珍品を持参する者もいたが
彼女はそれらに目もくれなかった。
そんな、ある日。
巡業サーカス団が、街へ公演に訪れた。
そして、その中の、あるひとりの少年が
噂を聞きつけ、彼女の住む屋敷を訪れた……………




