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「夢を、見ました」
「ゆめ?」
はい、と彼は微笑して頷いた。
そう、
あのときの彼の表情は、まるで…
雨上がりの空と、行き交う人々。
アイシャドーで重くなった瞼を、少しの間だけ閉じる。
雨に濡れて肌にはりついたストッキング。
ヒールで痛い足。
ちょっとだけ、立ち止まりたかった。
チークを塗りすぎたスーツ姿たちを、視界から消して。
自分も同じスーツ姿だってことを、少しの間だけでも忘れたい。
疑心暗鬼。
就活とは、この言葉が一番しっくりくると思う。
相手の欲しいもの
自分の欲しいもの
なりたい姿
やりたいこと
人は平気で嘘をつく
別に、嘘は悪くない。
でも、嘘をつくことを
皆お互いに分かっているから。
疑心暗鬼。
負のスパイラル。
社会にでるって
そういうことなのかな
なんてつまらないのか。
そんなことに力を注ぐくらいなら、いっそ…
いっそ、何がしたいのか
それも、わからない。
私はニヒルに微笑む。
「やっぱり私、ガキね…」




