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矢のごとく(33)
2970年 5月26日
すっかりコールドスリープも慣れた。
舟は銀河の回転方向に従って進んでいる。慣性がどうのこうので、隕石を避けやすいとかなんとか。
正直そんなに変わらないと思うが、これは俺の主観で多分間違いなのだろう。
宇宙は俺の頭で考えられるよりも遥かに複雑なのだろう。
そう言えば課題を出し忘れていたなと反省していたら、お舟がレポートを出してきた。
生存可能な惑星に関しての調査報告だった。
何のことかと思ったが、三百年の光速移動による今回の任務が失敗に終わった場合……何らかの理由で地球に帰還不可能だった場合の移住惑星に関するレポートらしい。
A〜Dランクで分けられた星はAが生存可能、Bが条件付き生存可能、Cが条件付き滞在可能、Dが滞在不可能だった。
調査を始めたのがここ十年の話らしいが、Aの数は二個も合った。大発見ではないかと思う。
感謝の意を示そうと抱きついたら、実体がなくて地面にしたたか頭をぶつけた。超痛い。