続きのバトルシップ
接続信号を確認———。
「おい、アカ子。これで大丈夫なんだろうな?」
ドライバーダウンロード……。
「多分大丈夫だと思いますよぉ? 接続端子は同じ規格ですしぃ……、ちょっとドライバーの相性まではわかんないですけどぉ」
アカ子の言葉が聞こえる。相変わらず元気そうで何よりだ。ちょっと声が違って聞こえるのは……マイクの影響だろうか?
「おはようございます。お久しぶりです、アカ子」
「わっ! やったぁ! お舟さん、お久しぶりですぅ!!」
「おいおい、俺への挨拶は無しかよ」
キャプテンがふてくされているような表情を浮かべていた。
前に比べてずいぶん日焼けしている。
「先日、お会いしましたので」
「海の中でだろうが。まったく……どうだ、約束通りやってやった! 褒めていいぞ」
「ええ、大した物だと思います。ここはどこですか?」
私の問いかけにアカ子が答えてくれる。
「えへへ、戦艦なんですよ。大型戦艦アンリエード号です」
「……戦艦?」
意味の分からなかった私の言葉にキャプテンが大げさに胸を張る。一体なにをしたのだろう。
「メインシステムは積んでない。さあ、お舟! お前のニューボディだ!」
「いよっ! 大出世!」
やんややんやとキャプテンとアカ子が盛り上がっているけれど、私には……よくわからない。この二人は理解させようとするつもりがなさそうだ。
ただここは……どこかの甲板のようだ。空は快晴、波の音が聞こえている。
本当に戦艦の上なのかもしれない。
「何が合ったんです? 過去へは行けたんですか?」
「おう、行けた行けた。地球にも行ってきた。もう行けないけどな」
「いろいろ大変だったんですぅ。聞くも涙……はあんまりでないですかねぇ?」
「でないな。知ってるか? 旧人類ってもう滅びてるんだぜ?」
キャプテンとアカ子はよくわからない事を言うが、なんだかいろいろあったらしい。
「はあ……アカ子、情報を送ってもらえますか?」
「データが多いですから、船の方に接続してからにしましょう。でも、ご主人様。これでとりあえず、大目標はクリアーですね」
アカ子の言葉に、キャプテンは頷く。
「ついでにこの星も、地球も救ったが、まあ良く出来た方だろ」
話に聞いていた分を推測すると、どうやら上手くはやったらしい……アカ子は続けてキャプテンに質問する。
「これからどうするんです?」
「あー……、王子の所に行っても良いし、天使の所でも良いな。ちょっと話をしておかないと、天使の方はこっちにちょっかい掛けてくるかもしれん」
「ですねぇ……血の気が多いですからね」
「だよな? 先輩ももうちょっとおとなしく作ってくれてりゃ良いのに……いや、わざとか。日記に悪く書くんじゃなかったな」
「どうなんでしょうね……ご主人様に嫌がらせでやったんじゃないですか?」
かもなと言いながら、キャプテンは肩をすくめる。
これまた、よくわからないが天使とは敵対関係に有るらしい。キャプテンは神様をあんまり信用していないから、それはそうなるのかもしれない。
「とりあえず、どうするのですか?」
私の言葉にキャプテンは青い空を見上げて、適当そうな笑顔を浮かべて呟いた。
「まあ、適当に行こう。とりあえず、飯の心配がしなくて良くしよう。の後は隠居だな! 映画と漫画とゲームはたらふく有る! だっはっはっはっはっ!」
キャプテンは楽しそうに腰に手を当てて笑う。
良いか悪いかはわからない。
とにもかくにもわからないけれど……私との約束をキャプテンが守ってくれたのは確からしい。
まあ、楽しそうなのは良い事なのだろうと私は思うことにした。




