昔の始まりの(10)
3020年3月26日
卵相手に話をするのを続けている。
やっている事はパズルとか、謎解きに近い。
俺を無罪にする為には、俺の罪が無くなるか、あるいは罪では失くせば良い。
だが正面から法改正は出来ない。俺が罪人である為だ。
そこで端っこの方から、少しずつ変えて行く。
例えば、罪人として罪状の緩和を申請する。却下されるが、ここで異議申し立てをする事が出来る。審問会を開く、ちなみに弁護も俺だし、結論を出すのも俺だ。一人しか居ないからだ。
結論として、罪状の緩和を認める。やむを得ぬ理由があったため、とかなんとかだ。
緩和されはするが、実際何が変わると言う訳ではない。食事のグレードがちょっと上がるくらいだ。だがさらにそこから、刑務所のイベントごとを開いてみた。
結果、模範囚一名の仮釈放処置を行ったりする。ちなみにイベントは「部屋を折り紙で飾り付ける」だ。
当然、一人なので俺が選ばれる。この仮釈放を得るまでに、半日掛かった。
書けば簡単だが、すげえめんどくさい手続きが山盛りだったのだ。だって本来なら分担する作業なのに、全部俺がしなきゃ行けない。
異議申し立ても俺、承認する人も俺、書類作成もそれに判を押すのも全部俺だ。
仮釈放で、外に出たが、居られる場所もないので大統領の部屋を目指す。
中央の管理塔の上の方に執務室と仮眠室が有るらしい。
移動は黒塗りの、箱みたいなデザインの車だった。これも呼び出すのが大変で、非常に困った。玄関先で一時間くらい問答をしたように思う。
それでもどうにか、中央管理塔へ移動したが、そこでも押し問答があり、部屋に入れたのは終業時刻間際だった。疲れる。
大統領は緊急時に働けないのかと聞くと、非常事態宣言を各幕僚達から受けなきゃ行けないらしい。ちなみにそれも俺が兼用している。だって俺一人だから。
ぁあああああああ、めんどくさい。




