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惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第十六章「来訪」
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追いつめられて(20)

3020年2月10日


海中での作業を行う。


計算させてみたが、引き上げるのはやはり難しいようだった。


「引き上げる装置も、運ぶ装置も貧弱ですから……むしろ、電波を出し続けてあの所属不明機に見つかってなかったのが幸いだと思いますぅ」とのことだ。


まあ、無理だろうとは思っていたが、残念には思う。


海中での作業は主に修繕もあるが、これ以上お舟が動かないように海底への固定。加えて、通信の復旧が有る。


例の方程式を貧弱な現在の通信環境でやり取りするのは難しく、加えてあまり通信電波のやり取りをすると機械式ゴーレムに見つかる可能性が……と言うことだ。


今日まで大丈夫だったからと言って、明日からも大丈夫って訳でもないしな。


救命バルーンに、天使達のとこから引っこ抜いて来た有線ケーブルをブッさして、これを海中に沈める。


救命バルーンは通信機能がある。


お舟の通信機能を回復させるには十分なはずだ。


しばらくは活動を控えてもらうが、海底から電波を出す事も出来るようになるので、あとあとの引き上げ作業にも役立つに違いない。


もろもろの作業は結局朝方から初めて、夕方まで掛かった。


今晩中にも例の計算式は何とかなると言う。さすがはお舟だ。脳みそが合衆国してるだけの事はある。


しかしお舟が言うには「カオス数計算の応用でなんとかなるがそれが無ければ難しかった」とのことだ。


また難しい事を言い出したなと思っていたら、その式自体はお舟が作ったものらしい。


よっぽど暇だったんだなと同情したが、もの自体は俺にゲームで勝つ為の代物が始まりだそうだ。言われてみて思い出したが、宇宙船の中でゲームでぼこぼこにされたあれか。


「私、あれ上手く計算できないんですよねぇ」とアカ子が笑っていたが……計算できないけど、俺ぼこぼこにされたよな?


俺の知らない所で俺を貶める為に裏で協力してたのか? と尋ねると、「えへー」とかアホ面で誤摩化そうとして来たので鼻の穴に指を突っ込んで引き上げてやった。


談合してやがった! 遊びだけどあそびじゃねーんだぞ、畜生め。


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