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惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第十六章「来訪」
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追いつめられて(11)

3020年2月1日


夜明け前から出発して、夕方前には天使達の島に到着した。


爺やと学者、犬耳は既に到着していた。


とにもかくにも月の落下に関して話を聞かなきゃ行けない。


天使達もお終いだと嘆いていた。月の天使の独断であるらしい。


何の為の複数体制なのか。


日数の余裕があと一ヶ月と十五日しか無い事を除けば、聞いたままの話だった。


月はゆっくりと近づいてそのまま衝突するらしい。ゆっくりとは言っても星と星との話だ。ぶつかれば地殻が吹っ飛ぶらしい。


お船の落下がお遊びに思えるレベルだろう。冗談じゃない。


どうやったら、止められるかと言えば方法は三つもある。


一つは月に行って操作をする事。問題は宇宙船が無い事と、月の大天使が言う事を聞く可能性が無い事だ。つまり無理だ。


二つ目は地球からの侵略を完全に止める事。俺が地球に行って、大統領になれば何とかなる。あるいはワームホールを破壊して、機械式ゴーレムを黙らせれば……まあ、何とかなるかもしれん。問題は日数的余裕が無いことだ。そして大天使が納得するかわからない事だ。


もう大天使が諸悪の根源だ。


俺の事だけ考えれば、地球に俺が逃げてワームホールを破壊するのが早そうでは有るが……。


とにもかくにも一ヶ月ではほとんど余裕がない。これをするのは月の落下を止められなかった時の残り時間でやれば良い。


結局出来そうな方法は三つ目……三百年の時間を巻き戻して、先輩に会いに行く事らしい。


これは本来の月が落ちて来た際の、試練がすべて達成した際の正規の月の止め方なので、大天使でも妨害できないそうだ。


「お父様の望みはエーテル技術の最終目標「時間移動」を行う事でした」


天使達の一人が言うにはエーテルは……時間とか空間をなんとか出来るらしい。ゴーレムを操るのはその副産物というか、ほとんどおまけで最終的には時間を操れるらしい。


先輩はそれをなんとかしたくて地球を離れたようだ。わからないが地球では出来ない事だったらしい。


しかし結局先輩は高濃度のエーテルを作れなかった。


だから仕組みをつくったんだそうな。いろんな試練を与えて、この星の技術進化を促す。最終的には月が落ちてくる。それを防ぐには時間を飛び越えて、先輩に会いに行くしかない……とまあ、そう言う筋書きだったようだ。


先輩も中途半端な状態でこの仕組みが発動するとは思ってなかっただろう。


「お父様の残された時空転移用の計算式が有りますが、これは解く事が出来ません」


天使達がそう言って出して来た文字列は俺が吐き気を覚えるような代物だった。


一体全体何がなんやら全然わからん。


学者が一生懸命頭をひねっているが、もうダメかもわからんね。

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