追いつめられて(10)
3020年1月31日
昼前に海岸線に着いたが、島まで行くのは朝一ではないと厳しいようだ。
日の出と共に出発する事が決まると暇になってしまった。
焦ってもしょうがないと、昼寝をしようとするとリンガーレイフォンが勝負をしようと適当な流木を拾って来た。
この勝負と言うのが厄介で、大体終わらないのだ。
しかし俺も人間だ。人間と言うのは学ぶものだ。
まともに勝負をするから疲れる。もしくは全く勝負をしないから付きまとわれるのだ。
そこそこに相手をすれば問題ないだろうと、適当にあしらう事にする。
そうと決まれば、暇も手伝って調子に乗って、あれやこれや言ってみる。
基礎が成ってないとか、道具の手入れが甘いとか、呼吸で大自然のパワーが……とか、まあそんな具合で適当にやっていたら、ラゴウが「程々にしておいた方が」などと言い出し、適当に言ってるのがバレた。
結局、相手をする事になったわけだが……リンガーレイフォンがこれまた強くなっているように思う。
なんというか、駆け引きが有る感じだ。戦場に出てまた強くなったのかもしれない。
だが向こうもそう思っていたらしい。俺が強くなったと言うのだ。
何を変えたと言う訳でもないが、合ってなかった期間もそこそこ長い。地球での訓練期間はそれなりに有るが、この星ほど高い身長の相手を想定しては来なかった。
そう言うのにも慣れて来たのかもしれない。
ナノマシーンのおかげで目も良くなってるし……、とはいえ正式な剣の使い方なんてものは知らないし、結局は雰囲気でやっているに過ぎない。
それで生計を立てるつもりはそれこそ、漂流直後はしばらく合ったが……今はもう無い。
あれだな。地球に帰るのが一番かもなぁ。何たって大統領だし。




