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矢のごとく(14)
2930年 5月7日
四回目のコールドスリープ終了。お舟に時間移動の可能性について聞いてみた。
答えは『わからない』だった。
答えを出されても、困るんだけど。だって俺がやってることの意味がなくなる訳だし。
俺も時間移動に関しては映画なんかで見たが、なんとも言い難いが正解の様な気がした。
解らないもんはわからない。
あんがい、親殺しの矛盾は発生せずに殺せるような気もする。
そもそも矛盾が起こったからどうなるのか? よくわからない。
ふとこのワームホールを通ったら、地球に帰れるんじゃ無いか?
と思ったが、お舟曰く、生命体が無事にワームホールをくぐり抜ける技術がないらしい。
驚いて目を剥いた。つまり帰っても穴はくぐり抜けられないじゃないかという訳だ。
だが三百年後には完成しているかもしれないとのこと。
つまり、地球に帰っても迎えが来るのを待ってないと行けない訳だ。
通り抜ける技術が完成しなくても、俺は置いてけぼりになる訳である。