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惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第十三章『戦場』
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進撃(42)

3019年9月12日


伝手を貸してもらい、ゴーレムを譲る事で船を借りる事に成功する。


そんなに大きな船ではないのが不安だが、海岸を添って進むのだから問題は無いだろう。


早速、という事で出して貰いたかったが、準備ができていないという。


仕方が無いので、夕方まで待つ羽目になった。


日が落ちてから船を出すのは縁起が悪いとかなんとか言っていたが、それはそれだ。

海の上なら多少は安全なのだから、仕方が無い。


宿屋の食堂で待っていると、広い場所が必要になったとだらしが無い博士が機械式ゴーレムをなんだか動かし始めた。


王子と爺やは端のほうで、毒味をしながら飯をもそもそ食べているので、何気なく作業を眺めていたが、実に興味深い。


と言うのも、異様にテンションが高いのだ。


この星にきて、すっかり慣れていたが、いちいち神に感謝するのがまず笑える。


偉い学者さんだというのに、どうした事かと思うのだが……実に楽しそうだ。


何か変なのかと聞くと、これは明らかに魔法のゴーレムとは違うと言い出した。


それには同意見だ。


同意した事でえらく食いつかれた。


明らかに普通のゴーレムと違うだろというと喜んでいた。というか抱きしめられると胸が顔の位置に来るので止めていただきたい。


それからは議論というか、意見の出し合いのようになった。


言っては何だが、俺は既に答えを知っているようなものだ。何せ、機械だ。魔法の力で動くゴーレムのほうが不思議で仕方が無いくらいだ。


俺が魔法ってのがそもそも変だろう。と聞くと、どこがだと言うので、「動きそうも無いだろ」と言ってやった。感心していた。


学者がいうには、ゴーレムというのは他の生命体とまるで違うのだという。


つまり生物として必要なものが無いのに動くのだそうだ。俺も同意見だ。


脳や筋肉、そう言うものが無いのにゴーレムは動く。関節すらないのだ。


くっ付くのが魔法だとしても、ゴーレムの動きを制御しているのがなんなのかは未だ不明で、無いといえば、目もなければ、耳も無い。


だが言う事は聞く。


実に不思議だ。学者もその点ではおかしいのだと言い出した。


そこからは酒盛りで、学者はアルコールが無いと生きて行けないのだと信じられない事を言いながら酒を搔っ食らっていた。おさげの弟子が止めようとするが、聞く耳を持ってない。


まあ良いかと油断していたのが良くなかったのか、甘い酒が有って喜んで飲んだのがまずかったのか……学者はぐでんぐでんになってしまった。


そして船に乗ると言って聞かない。


そして、そのまま乗り込んでしまった。


おさげの男曰く、こうなったら聞かないのだという。


聞かないからそれで良いってもんじゃないと思うが……。


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