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進撃(13)
3019年8月15日
王子は小太りで、実に五月蝿い。状況が把握できているかは怪しい。
多分、妾の子って奴のほうが優秀なんだろうなと思いつつ、言葉には出さない。
爺やのほうはこれまた妄信的だ。多分ぼけが入ってんじゃないかと思う。
食事に文句を言われて、王子に電気あんましたら、爺やが親の仇でも見るような顔で俺を見て来た。
しつけだと思うんだがなぁ。足腰弱ってる爺やをおぶって運んでたら、爺やは良いから俺を運べとか言い始めるし……失敗してるよ。正直言って、俺だったらこんな王子やだもん。
だがそれもこれも石鹸工場で左団扇の生活の為だ。戦争が早く終わって、石鹸が売れさえすれば……、今回の戦争で負傷した事にしよう。名誉の負傷。これででなくて済むはずだ。良いアイディアだ。
戦争終結の鍵を握ったんだから、報奨金もがっぽり出るに違いない。
早く帰って、アカ子の料理が食べたい。




