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矢のごとく(3)
2900年 4月26日
二十四世紀の「箔点珍道中」は名作だ。活字の限界がそこにはある。
と言うのは、ある本からの受け売りだが、俺は理解できない。ムズい。
登場人物六百人はやり過ぎだ。全然わからん。
特にパパピル村のペチャとプチャとパチャがプルパピ村のベチャとブチャとバチャと入れ替わる話で大混乱だ。
おまけに助けに現れたのがヘチャとフチとハチャだったから脳みそがやけどするかと思った。
このくだりの話の中で大林警部補だけが癒しだった。なんてわかりやすい名前なんだ大林。
しかし、宇宙船で本を読めるのは助かる。名作と呼ばれる本だけで図書館が作れる時代の生まれでよかった。
日の光で本は読めないが、どっちにしても俺はベッドで寝転がって読む派だから問題ない。
全部読むとなると九十日では短いくらいだ。