刺客(28)
3019年 7月7日
人間相手に使うの躊躇われるハンマーの練習をしておく。だが案外上手く使えてるような気がするのは村の片付けで振っていた所為だろうか。
多少手に馴染んでいる気がするが、やっぱりインパクトに威力がありすぎる。
振るのも遅くなりがちだし、早い相手に当てられる気がしない。
サラウンドが練習の様子を見に来たので、対戦相手になってくれと話を振ったら嫌がられた。事故が起こりかねないから……と言うのが理由のようだ。
「ガンドド様のようだ」と言うので、昔腕相撲で引き分けに持ち込んだと言うと驚いていた。ガンドドは力が強くて有名らしい。
宝石騎士の間でも様付けとかするんだなと質問すると、子供の頃から話を聞いてる宝石騎士を前にすればそうなると言ってた。
憧れていたスポーツ選手に、同じ競技の選手になってフィールドであった時みたいな感じなのだろうか?
そんな事を考えると、俺はあこがれのスター選手を演出できるほど人間が出来てない。
だが、考えてみると団長の婆とリンガーレイフォンが人間が出来てるとは思えない。
婆に関して話を振ると、サラウンドからは意外な答えが返ってきた。
と言うのもあの婆さん生きた伝説であるらしい。
建国以来、ずっとこの国を守ってるそうだ。
……偉い長生きだが、その辺も合わせて伝説らしい。
ふと長生きと言えば、ラゴウと一緒に居た賢者の爺さんを思い出した。
あの爺さんも三百年生きたと言うには元気だったし、ごく稀にはある事なのかもしれない。




