刺客(20)
3019年 6月29日
面倒ごとがやって来た。
宝石騎士がやって来たと、話を聞いてまたリンガーレイフォンが来たのかと、呆れていたが、実際に姿を見せたのは別の奴だった。
サラウンドという若い男だ。イケメンだ。村の女集はメロメロンになっている。
俺に会いに来たと言うので話を聞く事になった。
どっかであったことがあったかな? と思ったら、闘技場でぶっ飛ばした奴だ。でかい青い鎧を着ていて、投げ飛ばして勝った相手だった。
顔を見てなかったので、忘れてた。
話を聞けば”不幸な事故”に巻き込まれて、怪我をした為に前線から離れているらしい。
俺が投げたのがおそらく不幸な事故なんだろう。
サラウンドが言うには、一つ国を跨いだアシュテロンがリコウダー王国ってのに攻めて来ているらしい。
アシュテロンと言えば、船でこっちを攻めて来た奴等だ。
どうやら二つの方面で殴り合うつもりだったようだ。無茶をする。
今俺がいる国はデルフォース公国。
リコウダー王国はその親玉兼同盟のような関係らしい。
この二つは歴史上から見れば格上と格下になるが、現状の力関係はイーブンだ。
結構前に、ミリアお嬢がそんな事を言っていた。
まあ、そんなリコウダー王国は隣の隣国アシュテロンを攻めたので、デルフォースは援軍を出しているらしい。リンガーレイフォンもそっちに出向いているそうだ。
アシュテロンなら湾岸から攻めて来たぞと伝えると、サラウンドはえらく驚いてた。
宝石騎士が相次いで負傷したので、そこを狙われたのかと自分のふがいなさを嘆いていた。
原因は間違いなく俺だ。
「おのれ、ジェントルメン!」と言っていたから間違いあるまい。
名乗り出たら闇討ちされそうだ。あのとき顔を隠しといたのは良かったと言えるだろう。
そんなこんなで人手が足りないので、リンガーレイフォンの推薦で俺を呼びに来たらしい。
あの疫病娘め。よけいな事を……。
というか名指しで協力を求められるって、もうそれって宝石騎士なんじゃね?
戦力として勘定されてるってことじゃないのか?
これで行って、活躍した日には確定してまうんじゃないのか?
とりあえず、返事は遅らせておく。
明日には返答しなければならない……どうしたもんか。




