刺客(4)
3019年 6月12日
頭が痛い。
怪獣の次は天使が来た。
頭に輪っかこそ、浮いてないが……背中に羽が生えてて空を飛んでいた。
目を疑ったが、飛んでるものは飛んでいたから仕方が無い。
怪しい奴はいないかと村人に聞いて、村人が説明したのが俺だったらしい。それで村人を引き連れて屋敷まで訪ねて来たと言う。
そんな天使が俺の姿を見たとたん、襲いかかって来た。
なので殴り返したら、ものすごい勢いでその場にいた全員から怒られた。
村人も、俺の奴隷も全員だ。
神の使いを殴るとはどういう事だと言うので、向こうが襲いかかって来たんじゃ無いかと説明するのだが、聞きやしない。
不敬で、罰当たりなのだそうだ。
そりゃ、都合のいい時しか神様には祈らないが、天使に祈った事は無い。
というか、暴力を振るって来たら、それはもう翼の生えた人でしかない。
それが殴って来たなら、それはもう殴り返す対象だ。
俺は間違って無いと思う。
だがどうにも神罰が他の村人に落ちる前に、生け贄がいるな。みたいな雰囲気になった。
それはさすがによろしくない。
宗教戦争は後に引けないのは知っている。神託とか、聖地とか、そう言うのは戦争の引き金になるのだ。
エキサイトして来た村人がどうにもならなさそうだったので、治療すると言って、こっそりナノマシーンを打ち込む。
起き上がった天使はいい具合に誤解を解いてくれた。
「問題ないわ。私は彼を試したの。マジマジ、ホントよ、ホントだから、これマジバナ」
横で聞いていて、かなり頭が悪そうな説明だったが、村人達は納得していた。
羽が生えているだけで、あそこまで説得力を持つのは意外だ。
見た目って重要なんだなと思う。
しかし、このびっくり訪問はなんなんだ?
こっちは工場の大切な立ち上げ時期だと言うのに……。




