表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第十章『王者』
416/775

ジェントルメン(14)

3019年 4月7日


朝に地上げ屋の親分がやってきた。


また用心棒でも雇ったのかな? と思ったが、そうではないらしい。


「昨日の試合見ましたぜ。中々の盛り上がりじゃありませんか」


まあ、大番狂わせだったから盛り上がったと言えば盛り上がった。


「賭けが出来ないって騒いでる姿も見ましたぜ。実力を隠してるなんてお人が悪い」


親分はそう言って笑っていたが、俺としては笑えない。ファイトマネーは貰えても掛け金がもらえなくなったんで、計算より実りはずっと減っている。


そこに親分は俺に提案してきた。


「裏賭博と行きませんか? 旦那」


誘われたのは正規ではないかけだった。裏の業界が取り仕切る不正規の賭博。


そんでもって、八百長の誘いまで掛けられた。


今日の対戦相手は宝石騎士の一人。サラウンドって名前の奴だ。


前評判じゃ、向こうの圧勝ってことになってる。それじゃ賭けにならないだろうと思っていたら、俺がどれくらいの時間粘るかを賭けの対象にしてるらしい。


「旦那は勝負から逃げて凌いでもらえりゃ、それでいいで」


どうせ勝てないんだから良いだろうと言わんばかりの態度に俺としては引くわけにはいかない。


例えばの話で、俺の勝ちの倍率を聞くとかなりの倍数だったというか、正規よりもずっと高い。


どうやら俺の負け方で賭けが細分化している分、勝った時が大穴になっているらしかった。


治療費と、町までの移動費を差っ引いて残りをすべて俺の勝ちに突っ込んだ。


相手としては大金が転がり込んできた気分だろうが、そうはいかない。


その後コロシアムに出向く。


対戦相手が宝石騎士ということで会場の熱気は凄まじかった。熱狂と言っていい。


若手と聞いていたが、出てきたのは若手と言うには若くなかった。ガンドドと同い年くらいではないかと思うが、ガッチガチの青い鎧で全身を覆った鉄のかたまりみたいな奴で武器はこん棒に鎖で重しが付いたような武器だった。


この武器が実に厄介で、先端の部分がブラブラしてて、剣で防ぐことが難しい。


おまけに宝石騎士の戦いがやたらと上手い。


ヘルメットが隙間だらけでなかったら頭がべこべこになっていたかもしれない。


だが効果がないと判ると攻撃を足下へと切り替えてきた。


足は竹馬で痛覚が無い分、思い切る。


打撃に足をぶつけにきたのは敵としても予想外だったらしいが、隙らしい隙が見えたので、鎧の隙間に手をねじ込む。


それから投げを行ったが、これまたびっくりするくらい重たかったので、足に体重を完全に乗せないように腰をひねりながら地面にたたき落とした。


肩口から落としたのが効いたのか、動けなくなったところを鎧の隙間に手をやってこじ開けて剣を突き刺す。


手首は痛めたが、大番狂わせだったと言っていいだろう。


会場は大ブーイングだったが、勝ちは勝ちだ。投げた拍子に手首を痛めたので無事と言う訳ではないが、良しとしよう。


試合後、地上げ屋に行ったら戦々恐々としていた。親分が青ざめていたけど、約束は約束だ。


金の準備ができていないと言うことなので、明日取りに行くことになった。


明日は決勝戦だ。


しかし宝石騎士に勝った宝石騎士と言うことはあまり油断も出来ない。


勝ちに行くなら速攻しか無いだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ