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惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第十章『王者』
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ジェントルメン(2)

3019年 3月26日


昨日はずっと部屋で寝ていたが、奴隷達と同じ部屋なので何やら気まずい。


とりあえずしきりでその視線は塞いでおいたが、確実に「この人、なんなんだ」と思われているに違いない。


よもや異星人だとは思うまい。


部屋に居てもあれなので、と言うので双子の母親が子供の面倒を見るために残り、後の二人を食堂へと連れて行く。いろいろ下ごしらえなんかもあり、歓迎された。


朝飯を食べた後で部屋にリンガーパパが訪ねてくる。急いでドアを閉めたが無駄だった。


剣術をやってる人間は心が折れにくいのだろうか? 苦労をしている人間は不屈の闘志を持つのかもしれない。


出来るだけ、そうした苦労を感じずに生きて行きたいと願うばかりだが、そうもいかないらしい。


どうやら俺がまだリンガーレイフォンを狙っていると思っているようだ。


誤解の誤解なのだが、まあ、そう疑いたくなるのも判らないではない。


しかし病人が居るので、追い出されると結構困る。


リンガーパパは俺の説明に口をへの字に曲げていたが、何か閃いたらしく悪そうな顔を浮かべて金の話をしてきた。


どえらい大金を請求されたが、そのとき閃く。


つまり金を払えば師弟の話はキャンセルだ。なし崩し的に師弟の関係を復活させられたが、それも再度無しにできるのではないか?


問題はその大金を払えないと言う事だ。帰りの旅費さえも心もとないし……。


「払うからまってくれ」と伝えて、剣術道場を飛び出した。


とりあえず、傭兵家業でもするかと酒場に行こうとしたところ、ずいぶん賑わっている場所があった。


見に行くと殴り合ったり、武器を使って殺し合いを楽しむ場所らしい。


ゾッとする話だが、奴隷の販売が合ってしばらくは大賑わいになるらしい。


……なかなか苛烈だ。


参加者の中にはどこかで見た顔だなと思ったらトイユがいた。傭兵家業を初めてしばらくしたときにカードで仲良くなった男だ。


奴隷になったのかと会いに行くと、笑いながらいろいろ教えてくれた。


コロシアムと言うらしい。出場者の多くは重犯罪者だが一般参加も可能で腕自慢の傭兵達も大勢参加するようだ。戦争が無い時代の腕自慢の場でもあるらしい。危険な分、金払いもその分良いらしい。


同時に賭け事も大々的に行われているらしい。普通に娯楽扱いなのに驚くが、娯楽が少ないので仕方が無いのかもしれない。


短期で、ここから動かずに金を稼げるのはでかい。


なんとか出場しても俺だとバレない方法は無いだろうか。

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