従業員(40)
3019年 3月16日
会場の設営も終わり、いよいよと言う雰囲気になってきた。
奴隷を連れた人も多い。売りにきた人、買いにきた人で宿も満杯だ。
今日も設営作業を行っていたが、奴隷の姿を見かける。首に縄で数珠繋ぎになって歩いて居るのも居れば、馬車で運ばれてくるのも居る。
扱いはまちまちのようだ。重犯罪者のほうはやはり逃げられないようにしているらしい。
むしろ軽犯罪者の方は逃げないのだろうか? 扱いが悪くないので逃げないのだろうか。
しかし奴隷の数は思ったよりも多かった。
同じ設営作業をしている人間曰く、戦争時はもっと多いらしい。
「そもそも奴隷市ってのは、捕虜交換のノウハウ維持ってな名目もあるって話さ。やらなけりゃ判らんからな」
そう聞いて、納得する部分もある。
戦争が起これば、捕虜は出てくる。
皆殺しと言うわけにも行かないのだろう。そうなると当然野に離すと言うわけにも行かないので、捕まえておく必要がある。
必要とあればほかの地方に労働力として渡したり、相手の国との交換も応じなくてはならないだろう。
その辺のノウハウと、奴隷の販売と言う部分は確かに近いところがあるのかもしれない。
いろいろと思惑はあるようだ。
なんにしてもそのシステムを上手い事、乗りこなさなければならない。
奴隷の購入は三人。人の良さそうな中年のおっさんが狙い目だ。頑張ろう。