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従業員(26)
3019年 3月2日
リンガーレイフォンの実家は剣術道場と言うより、学校や収容施設に近いものを感じる。
衣食住を供給する事で、朝から晩まで体を鍛えさせる。
この星では筋力は力だ。宇宙服のような補助機械が存在しないのだから、それも当然。
そうなってくると地球ではどちらかと言えば精神面を鍛える事を重要視されていたが、この星だとそうでもない。肉体の強さとそれに伴う技術が優先される。
健全な肉体には、健全な精神が宿る……らしい。
健全な肉体になるナノマシーンを体に入れても、健全な精神が宿っているとは俺自身思えない。
多分、過程が重要なのだろう。
しかし健全な精神を宿しているはずの人間に囲まれているのに、陰口が止む様子が無い。
俺の待遇は客人になったが、非常に居心地が悪い。
その状況を気にしてリンガーレイフォンが今日も気を使ってくれるが、それがどうにも面白くないようで……悪循環に陥っている。
正直なところさっさと出て行きたいが、明日には宝石騎士の団長が来るらしい。
そのまま待って居るようにと言われたので待っているよりほかは無い。
事はなるだけ穏便に済ませたい。




