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惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第九章『従業員』
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従業員(8)

3019年 2月12日


俺も人間嫌いでした。と結論づけても、何の改善も無い。


むしろ、実験のつもりでリンガーレイフォンを上手い事立ち直して、その経験を元に俺を立ち直せば良い。


この星の文化レベルへの適応は俺自身の課題だ。お舟の件とは別ベクトルの問題だ。生活は出来るが、考え方、捉え方、思想や常識と言った面にはまだまだ問題がある。


意識変化に関して急ぎではないが、地球に帰りたいと思う事が無いとは言えない。

どんな形であれ、生活が落ち着けば、満足した生活を送りたいと考えているが、地球であった娯楽はほぼ無い。


いや、娯楽だけでなく、根本的に産まれた星が違えば根底が違う事だってありうる。


それを自覚した事はないが、それは俺が深い関係を構築していないから判らないだけかもしれない。ナノマシーンに頼りすぎるとアンプルの本数に依存する事になる。


それは強固な関係とも言えるが、諸刃だ。閉鎖空間ではないのだから。


昨日からの話を統合すると、リンガーレイフォンはコミュニケーションに難が有り、かつ飢えているようだ。どうにも家庭環境に問題があるようで、生まれが剣術道場。そのまま剣を教えられて、そのまま剣だけ学んできたらしい。


常識が無いと言うのはこの際は悪くない。問題があるとすれば、教師役をする俺にも常識が無いと言う事だが、それに気づかれないと考えれば尚の事良しとしよう。


リンガーレイフォンは何か問題があっても剣の実力で見返してきたので、剣で問題解決するという思考回路が完成しているらしい。宝石騎士と言う役職もその考えに拍車を加えているようで、実力=偉いと言う考えがリンガーレイフォンの根底にはあるのだろう。


つまり馬鹿だ。共感を覚えなくはない。


しかし喧嘩で問題を解決できると考えている奴はタチが悪いのは間違いない。とはいえ、この星の文明では原始的暴力の力は想像以上に大きい。


俺だって、今の生活の基盤はそれで建てている。


行くところまで行っても、自立してればそれで良いのだろうが。

経済的には自立していても、リンガーレイフォンは精神的には自立できていないのだろう。


俺が出来ているかと言えば、出来ていないだろうが……。


とくに気にかける必要も無いのかもしれないが、さすがにこのままの状態が続くとノイローゼになりかねない。


前向きに、かつ合理的に解決しなければ。逃げたくもあるが。

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