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惑星ジェミニ物語  作者: 森山 銀杏
第九章『従業員』
345/775

下準備(31)

3019年 1月28日


名案が浮かばないまま、気がついたら朝だった。


またもや、ドーレスが呼びにくる。また逃げ損なった。


査定の人も見学に来るし、ますます逃げにくい上に、どうもこの二人、俺が何か仕出かした罪人かなにかのように思っている節がある。


もう営業妨害だと言っても過言ではない。


おまけに二番隊の奴等も俺を睨むし。全員、武器持ってるし。


「なんだ、戦争でもするのか?」と軽口を叩いたら返事も無い。ゲンナリする。


リンガーレイフォンは装備も万端。やる気十分な様子だった。


「正々堂々」


などと言う。どうも彼女の言う正々堂々とは剣の、剣だけの戦いであるらしい。


そんなもん勝てるわけが無い。


おまけにまたもや真剣を持ち出してきた。


木剣にしようと言うが、真剣勝負だと聞きもしない。しょうがないので俺だけ訓練用の剣を使う事にした。刃がつぶしてあるので安全……と言うには痛そうだが、刃が付いてるよりは安全だ。


それを馬鹿にされたと思ったらしいすごい早さで切り込んできた。


正攻法で戦いつつ、負けようと思うのだが、これが中々どうして。

リミットを完全に解除しても、簡単には行かない。


しかし向こうは逃げ回る俺が手を抜いていると考えているようで、こっちに剣を振りながら怒るし、回りの奴等からも野次が飛んでくる。


そのまま、戦い続けても良くないのは間違いない。落とし穴を掘る暇もない。


最後の手段を出す事にした。


剣を投げ、視界を防いでからのタックルおよび、背面に回って腰をホールドし、バックドロップ。からの剣を持った腕に対して逆肘固めだ。


軍隊乱闘名物プロレス技だ。


如何に体格差があり、相手が鍛えられていて居ようとも、パワーでは負けない。関節の数が違うわけでも無し、一度固めてしまえば抜け出せない。


足下で暴れるリンガーレイフォンもしばらくすると静かになった。


ギブアップと受け取って手を離すと、リンガーレイフォンはゆっくりと立ち上がった。

全体的に元気が無い。回りの観客も声も無い。


「私は弱いか?」


そう聞かれたので「しらん。喧嘩慣れしてないんじゃないか?」というと、目を芝炊かせていた。


「とにかく、決闘はおしまいだ。もうしないからな」


そう宣言して、逃げるように宿に帰ってきた。


ああ。ドーレスの言葉が耳に蘇ってくる。


こうしてつらつらと書いては見たがまったく心が落ち着かない。だが言いたい、俺は悪くない。悪くないだろ。読み返してみても俺が悪いとは思えない。


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