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2890年(34)
2890年 4月8日
久しぶりにリニアで同席したウァンナにあった。
俺が、搭乗員に選ばれた事を言うと我がことのように喜んで、同じように心配してくれた。
『僕にできる事があったらなんでも言ってくれ』と言ってくれた。良い奴だ。
特に何をしてもらおうという気はなかったのだが何やら気に病んだ様子だった。
話を聞けば、俺が船に乗れば二度と会えないからだと言う。
確かに六千年後に生きているやつはいないだろう。タイムマシーンがうまく動いても、三百年後の地球にしか返れない。
なるほど、よほどコールドスリープでもしない限り、生きている人間はいないに違いない。
と言うか明日生まれた赤ちゃんにも合える確率は無いのか。
改めて、この任務の苛烈さを思い知った。
そりゃ俺みたいに、家族がいない奴じゃないと駄目だわ。