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帰路(4)
3018年 10月30日
夕方前には、村に着いた。
実に久しぶりだ。アンリエードは快く俺を迎えてくれた。ずいぶん心配されていたらしい、いきなり抱き締められるとは思っていなかったが。おいしい夕食をごちそうになり、お土産を渡すとずいぶん喜ばれた。
「言葉もずいぶん上手くなったのね」と、褒められた。
そう言えば、片言で喋ったりもしていたんだった。スッカリ忘れていたが、まあ結果オーライだろう。
なんともかんとも、ついこの間の事だと言うのに懐かしい。その後は、今までの生活を語って聞かせた。
彼女はずいぶんと良いお客さんで、驚いたり笑ったりしながら話を聞いてくれた。
人との会話に飢えているのだろうかと、心配になってしまう。
村から離れた所に住んでいるのはさびしいのではないだろうか。すぐには帰らず、しばらく泊まる事にした。
アカ子の事も心配だが、恩人のアンリエードを軽くは扱えない。